プロドラッグ体作成のために、まず化合物の大量合成を行った。大量合成で取得した化合物は、実験で使用したSRPK阻害剤と一致していた。これまで報告されているプロドラッグ体を参考に、軟膏剤で効果を確認したSRPK阻害剤のアセチル化体を作成した。しかしプロドラッグ体は作成できたが、実験にて使用する軟膏を作成するに必要量の化合物を取得するのが困難であり、脈絡膜新生血管モデルマウスでの効果実験までは至らなかった。 またSRPK阻害剤投与による眼組織でのVEGFの変化を確認するため、マウス網膜及び脈絡膜・強膜複合体からのRNA抽出、cDNA作成、RT-PCRを試みた。網膜や脈絡膜・強膜の組織全体よりRNA抽出すると、レーザーを施行した部分以外の組織が多く含まれるため、レーザーを施行した部分の組織を部分的に採取し、RNA抽出を試みたが、サンプル量が微量のため、RT-PCRにてVEGF mRNAを確認することはできなかった。またレーザー数を増やし、採取する組織量も増やしたが、確認に至らなかった。 動物組織のVEGF mRNAの変化を同定するのが困難であったため、網膜色素上皮細胞を用いた実験で再度SRPK阻害剤によるVEGF mRNAを確かめた。これまで我々はVEGF mRNAの低下に関して確認していたが、既報ではRNAスプライシングによるVEGFのアイソフォーム変化による血管新生阻害が報告されていたので、スプライシング変化について検討した。網膜色素上皮細胞からRNA抽出し、VEGFAのmRNAを確認したが、既報にあるような新生血管阻害効果のあるVEGFのアイソフォームは確認できなかった。
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