研究課題/領域番号 |
15K20258
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 健太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70624229)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人工視覚 / 電気刺激 |
研究実績の概要 |
本研究では、視細胞障害モデルに対するSTS(網膜刺激型人工視覚)及びAV-DONE(視神経刺激型人工視覚)の慢性長時間連続電気刺激系と視機能評価系を確立した上で、慢性長時間連続刺激を行い、慢性長時間連続刺激の視機能に対する影響の評価を行うことが本研究の目的である。 今年度は、外部給電不要な慢性長時間連続電気刺激系の作成を行った。慢性の刺激系については、研究協力者の協力を得て、基板1枚と2枚のものの電気刺激装置を試作するに至った。いずれも、実臨床で用いている刺激パラメータによる電気刺激が可能で、電池1つで1日8時間通電を4日間通電が可能となった。 基板が1枚のものの方が重量が軽く小型であるが、電流の立ち上がりが緩やかであるのに対し、基板が2枚のものは重量が重いものの、電流の立ち上がりは急峻で実臨床に近いものが得られた。これについては、なるべく動物への負担を軽くすることと、通電開始直後の急峻な電流の立ち上がりが、必ずしも神経興奮に寄与していないとの報告もあるため、基板が1枚のものを使用することとした。総注入電荷量が同じになるように、若干設定電流をあげて対応することとした。 動物が小さい場合は、慢性刺激装置自体が相対的に重くなるが、より成長した週齢の大きい動物を使用し、より軽量な刺激装置を使用することで動物への負担を軽くして対応することとした。 その後も行動実験の実験系を試みたが、使用できる実験室のサイズの制約に加えて、実験室の移動を余儀なくされ実現困難と判断した。視機能評価については、行動実験の評価の代わりに、EEP(STSでは、神経節細胞から大脳皮質視覚野までの視路の評価。AV-DONEでは、視神経から大脳皮質視覚野までの視路の評価)、VEP(視細胞から大脳皮質までの視路の評価)及びERG(網膜細胞の機能評価)を用いて評価することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までに、慢性通電用の術式と外部給電が不要な人工視覚の慢性の長期連続刺激系ができなかった場合に行う、複数回の通電のための安全な麻酔法の確立を行った。ただ、実臨床で用いると考えられる連日8時間程度の連続通電が可能となる、外部給電が不要な長期連続刺激系の構築を目指して、研究協力者の力を得て、目標とする外部給電が不要な連続の刺激系の試作するに至った。今後、In Vivoでの耐久性をみる予定である。行動実験系の構築は、使用できる実験室のサイズの制約に加えて、実験室の移動を余儀なくされ困難と判断した。代わりにEEP(STSでは、神経節細胞から大脳皮質視覚野までの視路の評価。AV-DONEでは、視神経から大脳皮質視覚野までの視路の評価)、VEP(視細胞から大脳皮質までの視路の評価)及びERG(網膜細胞の機能評価)を用いて評価することとした
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者が試作した、外部給電が不要な人工視覚の慢性の長期連続刺激系を完成させて、 実際の日常生活で用いる1日8時間程度の連続通電を1ヶ月以上行う。 視機能評価を行う行動実験系の確立は困難となったために、これまでに確立しているEEP(STSでは、神経節細胞から大脳皮質視覚野までの視路の評価。AV-DONEでは、視神経から大脳皮質視覚野までの視路の評価)、VEP(視細胞から大脳皮質までの視路の評価)及びERG(網膜細胞の機能評価)を用いて視機能評価を行い、長時間通電の影響を検討する。 また、外部給電が不要な人工視覚の慢性の長期連続刺激系の構築が達成できない場合は、これまでに確立した麻酔法を用いて、週に2回(1回1~4時間程度)の連続通電を行い実験を進める。その場合は、より安全な麻酔法を目指して、吸入麻酔の導入が出来ないか検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の計画では、外部給電が不要な人工視覚の慢性の長期連続刺激系を構築することと、視機能評価を行う行動実験系の確立を目標としていた。ラットに給電系をセットするためにジャケットの使用なども検討したが実現が困難で、外部給電が不要な人工視覚の慢性の長期連続刺激系の確立に至っていない。また、行動実験系の確立に関しては研究協力者の異動および、年度内での動物実験室の2回の移動を余儀なくされ、規模の大きな実験系の設計、および組み立てなどが困難であり現在確立に至っていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者が試作した、外部給電が不要な人工視覚の慢性の長期連続刺激系を完成させて、実際の日常生活で用いる1日8時間程度の連続通電を1ヶ月以上行う。引き続き、視機能評価を行う行動実験系の確立を目指すが、実現困難な場合は、これまでに確立しているEEP(STSでは、神経節細胞から大脳皮質視覚野までの視路の評価。AV-DONEでは、視神経から大脳皮質視覚野までの視路の評価)、VEP(視細胞から大脳皮質までの視路の評価)及びERG(網膜細胞の機能評価)を用いて視機能評価を行い、長時間通電の影響を検討する。
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