研究課題
長寿遺伝子と言われるSirtuinsの中でも、ミトコンドリアに局在するSIRT3の生体網膜内での役割を、加齢性網膜病態との関連を中心に解析する。SIRT3ノックアウトマウスを用いて、加齢や加齢性疾患に関連するストレス刺激下の網膜でのSIRT3の役割を解析する。また、加齢や加齢性疾患モデルにおけるSIRT3の網膜内発現を解析する。加齢に伴う網膜疾患としては、失明原因の上位を占める加齢黄斑変性を念頭に,そのリスク因子である光暴露のモデルを用いて網膜変性や視機能低下のメカニズムにSIRT3がどのように関与するのかを解析する。網膜にはミトコンドリアが豊富にあり、エネルギー代謝が盛んに行われるとされ、さらに網膜ではSIRT3の発現が豊富であることは先行研究により明らかにされている(Ban, Ozawa et al. Exp Gerontology 2013)。網膜でのSIRT3の役割の重要性は予想に難くない。本研究によりSIRT3の網膜での役割がわかれば、加齢性網膜病態に対するSIRT3を標的とする新規治療法の開発につながる。最近の網膜病態と酸化ストレスに関する研究は、抗酸化剤の投与効果に関する研究が中心で、内因性の酸化ストレス調節分子であるSIRT3に着目して解析するところは、本研究の特色である。すなわち、酸化ストレスにより生じる加齢性網膜病態のメカニズムを、今までには無い視点から解析することになり、科学的にも意義深い研究である。
2: おおむね順調に進展している
SIRT3ノックアウトマウスの飼育は順調であり、光暴露モデルの作成条件の検討も既に終えてあるので、研究の進捗に問題は無い。
SIRT3ノックアウトマウスを用いて光暴露モデルを作成しその影響を組織学的に解析する。また、網膜内の分子発現の変化をイムノブロット法やリアルタイムPCRの方法を用いて解析することでSIRT3の網膜での役割を解明する。
購入予定であったプライマーを研究室で譲ってもらったので、研究費予算を縮小でき、次年度使用額が発生した。
SIRT3ノックアウトマウスに光暴露刺激を与え、組織学的および電気生理学的解析をする。SIRT3ノックアウトマウスに光暴露ストレスを与えて,組織学的および電気生理学的に解析する。研究室ではこれまでに、光暴露後36時間をピークとして視細胞にアポトーシスを生じることを調べ済みであり、この時間を中心に野生型とノックアウトでアポトーシス細胞の数を比較する。また、光暴露後4日で、ERGの変化が顕著であることを報告済みであり、この時点を中心にERGの解析も行う。また、SIRT3ノックアウトマウスに光暴露刺激を与え、ミトコンドリアの状態を解析し、さらにROSレベルを解析する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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