研究課題
糖尿病網膜症は成人の視力低下をきたす疾患として非常に重要な疾患である。糖尿病黄斑浮腫は病期に関わらず発症し、視力低下をきたす。その治療としては光凝固、ステロイドの局所投与等が以前行われていたが、現在では血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬が使用され、劇的な効果を示している。しかしながら、VEGF阻害薬による治療が効果が不十分であったり、再発を繰り返す症例も多く存在する。また、VEGF阻害薬は硝子体に直接投与する必要があり、患者の侵襲も強く、さらにコストの面でも問題を抱えている。よって、VEGF阻害薬以外の治療法が必要です。大規模臨床試験にて、核内受容体であるPPARαのアゴニストであるフェノフィブラートに糖尿病網膜症抑制効果があることが見出させた。PPARαは転写因子として働くと考えており、このメカニズムを解明することは新規治療薬の開発つながると考えられる。そこで我々はPPARαアゴニストを用いて様々な実験と行った。PPARαアゴニストの投与により、STZ誘発糖尿病モデルラットの網膜における炎症反応の抑制効果をウエスタンブロット、定量PCRにて確認した。STZ誘発糖尿病モデルラットにおける網膜血管透過性亢進の定量的測定方法として、エバンスブルーを用いた実験系により定量化することが可能となった。invivoにおける網膜のSiRNAを用いたノックダウンの方法として、invivo専用キットを用いることで、1週間の間ターゲットの遺伝子をノックダウンする事が可能となった。
2: おおむね順調に進展している
現在はトロンボモジュリンのinvivoにおけるノックダウン、PPARαアゴニストによる網膜における炎症反応抑制の確認。およびエバンスブルーを用いた網膜血管漏出の定量的評価方法の確立まで終了している。今後はPPARαのターゲットタンパクであるトロンボモジュリンをノックダウンした状態でのPPARαアゴニストによる炎症反応抑制効果の阻害についてウエスタンブロット、定量PCRにて検討し、同時に網膜血管漏出をエバンスブルーを用いた定量的網膜血管漏出評価実験を行う予定である。
今後はPPARαのターゲットタンパクであるトロンボモジュリンをノックダウンした状態でのPPARαアゴニストによる炎症反応抑制効果の阻害についてウエスタンブロット、定量PCRにて検討し、同時に網膜血管漏出をエバンスブルーを用いた定量的網膜血管漏出評価実験を行い、以前invitroで証明したPPARαアゴニストの抗炎症効果のメカニズムを、invivoでも検討していく。
購入予定であったラットを、実験計画の進行の変更に伴い購入しなかったため。
昨年度購入予定であったラットの購入を行う
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件)
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