研究課題/領域番号 |
15K20294
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
青松 圭一 近畿大学, 医学部, 講師 (60411633)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ARPE-19 / uPA / uPAR / EMT |
研究実績の概要 |
本研究ではARPE-19 細胞を用いて線溶系の重要な因子であるuPA/uPAR を介するEMT に着目し、創傷治癒制御機構の解明を行うことを目的として実験を進めている。まず、EBウイルス由来のベクター系を用いてARPE-19 細胞株を親株としたuPAR 強制発現細胞株(pEB-uPAR)を樹立した。コントロールとしたpEB-empty細胞株とともに、これらのlysateからウエスタンブロット法にて確実にuPARが発現していることを確認した。 これらARPE-19にトランスフェクトさせたpEB-uPAR、pEB-emptyの細胞株において、通常培養状態での細胞形態について観察したところ、両細胞ともEMTに特有な細胞形態変化はみられなかった。 EMT 関連マーカーであるE-cadherin, N-cadherin, α-SMAの発現変化についてrealtime-RT PCR法で確認したところ、コントロールとした親株に比べ、uPAR強制発現株ではE-cadherinの発現はやや上昇傾向で、N-cadherinにおいてはやや減少がみられ、α-SMAは発現が抑制されていた。 次にアタッチメントアッセイによりARPE-19 細胞のuPAR 依存性細胞接着能の変化を検討したところ、plastic上、fibronectin上、vitronectin上といづれの条件においても、細胞接着能はuPAR強制発現株において接着能の低下がみられた。 我々が予想していた結果とは異なる結果であり、まだ学会などでは発表を行っていないが計画していた実験を行い結果をまとめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ARPE-19細胞におけるuPA/uPAR制御性のEMT発現機構について実験結果が出てきている。網膜色素細胞でのEMT発現機構について、当初われわれが予想していた線溶系の重要な因子であるuPA/uPARの直接の関与は今のところ確認されていない。これらを踏まえ残りの実験を進め、結果をまとめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
計画していた残りの実験を行う予定である。実験内容はARPE-19細胞におけるuPA/uPARの関与について、3次元培養によるコラーゲンゲル収縮能の変化について検討を行うことである。上記の結果とあわせて結論をまとめ、時間や予算が確保できればuPAR単独では発現上昇が確認できなったEMT変化について、PAI-1の関与などの報告もありこれについても追加実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を行う上で当初購入を想定していた実験物品や試薬は、当研究室に在庫していたものをの一部使用することができたため、新たに購入せずに実験が行えたことが理由と考えます。また、想定と結果が異なることもあり現時点で発表などは行えておらず、旅費なども未使用となりましたので、これも含めて次年度に繰り下げを行う予定です。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの結果を検討し、3 次元培養によりARPE-19 細胞のuPAR 刺激性コラーゲンゲル収縮能を検討を次年度に行う予定です。結果次第では、ARPE-19細胞を使用し追加実験も行う予定です。
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