研究課題/領域番号 |
15K20295
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
鎌尾 浩行 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30388946)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 網膜色素上皮 / 組織プラスミノーゲン活性化因子 |
研究実績の概要 |
加齢黄斑変性などが原因で発症する網膜下血腫に対して、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)を併用した外科的な血腫除去が現在行われている。しかし、これまでに薬剤毒性による網膜色素上皮(RPE)の障害と思われる報告がいくつかなされている一方で、tPAの安全性試験の報告は神経細胞に対する評価が中心で、臨床像で障害が示唆されているRPEに対する報告は無い。そこで生体のRPEと同様の性質を持つヒトiPS細胞由来RPEを作製し、tPA含有の培地で培養することで薬剤安全性を評価し、臨床で障害が報告された濃度との間に、どの程度の一致性や相関性があるかを明らかにする。この結果により、今後のiPS細胞の創薬研究全体における安全性試験の結果解釈の一つの基準となりうる可能性がある。 実験は、2つのラインのヒトiPS細胞(253G1、454E2)からRPEに分化誘導した後、RPE特有の遺伝子発現や機能(PEDFやVEGFの分泌)を確認した。次に、様々な濃度tPA含有培地で1日培養後に死細胞率をLDH aasayを用いて評価した。結果は253G1では1000ug/ml以上・454E2では500ug/ml以上で細胞が障害されたが、臨床で障害が報告された50ug/ml以下では障害を認めなかった。一方で、RPEの細胞株であるARPE19を用いてtPAの毒性を評価したところ、iPS細胞由来RPEと同様に500ug/ml以上で細胞が障害されたが、臨床で障害が報告された50ug/ml以下では障害を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在、当初の計画通りヒトiPS細胞由来RPEに対するtPAの毒性評価まで終了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、障害を認めなかった濃度におけるRPEの機能(サイトカイン分泌:ELISA法を用いてVEGFとPEDFの分泌量、バリア機能)を評価する予定である。
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