本研究課題における平成28年度の計画は③ヒト神経堤幹細胞のヒルシュスプルング病モデルマウスへの移植と、生着・分化実験であった。 平成27年度の段階で、①ヒト歯髄細胞を発光タンパクでラベルし、可視化することはでき、②2ヶ月の観察期間中において移植されたモデルマウスが生存することは確認できていた。 その後サンプル数を増やした観察・検討を目指していた。 しかし、移植細胞の発光タンパクでの追跡は全例での確認は困難であった。観察期間後に摘出した腸管サンプルにおいても生着しているはずの細胞を特定することは難しく、実際に生着している細胞はごくわずかである可能性が示唆された。マウスの歯髄細胞を用いた場合に比較して、ヒト歯髄細胞は生着しづらいかもしれず、免疫学的な拒絶反応に関して確認・検討する必要がある。また、以前に長期生着を認めた腸管由来神経堤細胞を用いた移植実験では細胞塊の状態で移植していたが、今回の細胞は細胞塊で増殖するわけではないこともあり、細胞懸濁液の状態で移植を行ったなどの違いもある。今後、技術的な移植方法の見直しなども必要と考えられた。
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