腸管神経節細胞の欠失・機能異常が本態とされる腸管運動不全は手術のみでは十分な排便機能を獲得できないこともある難治性疾患である。我々はこの病態に対し、腸管神経を用いた細胞移植治療の有用性を報告してきた。その成果を基に、臨床的にアクセスしやすい神経堤細胞である歯髄細胞を用いた治療効果の有用性を検討した。移植細胞を可視化し、モデルマウスに移植して細胞生着を経時的に観察した。細胞生着を確認できたが、移植細胞の組織学的観察は困難であり、分化能評価には至らなかった。歯髄細胞は免疫学的拒絶の可能性は低い細胞とされる。腸管由来神経堤細胞と歯髄細胞との増殖・維持法の違いを見直し、分化能の評価を行う必要がある。
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