研究課題
リンパ浮腫の基盤にある炎症プロセスと過剰なリンパ管新生について、その意義と、制御分子機構の解明を本研究者が開発したマウスモデルを用いて行った(①)。また、既に同定済みのリンパ浮腫抑制薬について、そのリンパ浮腫のプロセスへの作用機序を明確にした(②)。①炎症プロセスの誘導機構とリンパ管新生、リンパ管成熟障害への寄与の解析本研究者が確立したマウスリンパ浮腫モデルでは、リンパ球と単球・マクロファージを主体とした免疫細胞の集積が見られた。また、一部マクロファージはVEGF-C を発現していることが明らかとなった。従って、炎症プロセスが、リンパ管新生をもたらしている可能性が明らかとなった。さらにサイトカインの投与および中和抗体を用いた解析をin vitroおよびin vivo実験で行い、集積したリンパ球のうちCD4陽性T細胞(Th1,Th17)が産生するサイトカインがマクロファージを刺激してリンパ管新生を促進するVEGFC産生を促進していることがわかった。②リンパ浮腫抑制薬の作用機序の解析本研究者は、すでに炎症と血管新生への作用が知られている薬剤について、そのリンパ浮腫への作用を解析し、既に2 種の薬剤がリンパ管浮腫抑制作用を持つことを見いだしている。その作用機序に関して、薬剤がCD4陽性細胞の集積を抑制すること、そしてCD4陽性細胞のマクロファージへの関与が減少し、マクロファージからのVEGFC産生が抑制される結果、リンパ管新生と透過性亢進が抑制され浮腫が軽減することが明らかになった。
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J Invest Dermatol
巻: 136(3) ページ: 706-714
10.1016/j.jid.2015.12.001