研究課題/領域番号 |
15K20309
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
渡邊 敏之 岡山大学, 大学病院, 医員 (30379804)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ハニカムβTCP垂直孔構造 / ハニカムβTCP水平孔構造 / 頭蓋骨組織置換 |
研究実績の概要 |
本年度研究においては、骨組織再生能の乏しい頭蓋骨欠損に対し、申請者らの開発した骨内微小環境を再現可能なハニカムβTCPの頭蓋骨組織置換に適した形状についての検討を目的に、8週齢雄性ラットの頭蓋骨欠損モデルを用いて検討を行った。ラット頭蓋骨をダイヤモンドバーを用いて切削し、骨膜と硬膜を温存して直径約5×5mmの骨組織欠損を左右2つ作成した。作成した骨欠損部位に、4×4mm大の直径300μmの貫通孔を有するハニカムβTCPを、垂直貫通孔と水平貫通孔の2種類埋入した。垂直貫通孔は骨膜から硬膜へ貫通孔が連絡し、水平貫通孔は頭蓋骨板間層に貫通孔が連絡している。埋入した試料は、処置後4週で摘出し、H.E標本を作成して組織学的に検討した。 頭蓋骨に対して垂直の貫通孔を有するハニカムβTCP(以下ハニカムβTCP垂直孔とする)を埋入した試料においては、多数の細胞侵入が認められ、硬膜側からハニカムβTCP垂直孔内壁に添加するように骨膜側に向かって骨組織の形成が認められた。ハニカムβTCP孔内には炎症反応は殆ど認められず、孔内壁に添加するように良好な骨組織が形成されていた。頭蓋骨に対して平行の貫通孔を有するハニカムβTCP(以下ハニカムβTCP水平孔とする)を埋入した試料においては、硬膜側の孔内腔に充填する様に骨組織の形成が認められた。しかしながら骨組織は硬膜近側に認められるのみであり、骨膜側の孔内には骨組織の形成が認められなかった。 以上のことから硬膜と骨膜を連絡するハニカムβTCP垂直孔構造は、骨組織形成に関わる幹細胞の遊走にとって重要であり、ハニカムβTCP水平孔より効率的に骨組織形成に働くことが示唆された。ハニカムβTCP垂直孔は、頭蓋骨再建に用いる新規生体材料として非常に優れた材料となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、頭蓋骨欠損に特化したハニカムβTCPの作製法について検討を行った。 頭蓋骨に対して垂直の貫通孔を有するハニカムβTCPを埋入した試料においては多数の細胞侵入が認められ、硬膜側からハニカムβTCP垂直孔内壁に添加するように骨膜側に向かって骨組織の形成が認められた。 頭蓋骨に対して平行の貫通孔を有するハニカムβTCPを埋入した試料においては、硬膜側の孔内腔に充填する様に骨組織の形成が認められたが、骨組織は硬膜近側に認められるのみであり、骨膜側の孔内には骨組織の形成が認められなかった。 以上から、欠損部再建生体材料としてのハニカムβTCPの形状に関する検討では、ハニカムβTCP垂直孔は、ハニカムβTCP水平孔より効率的に骨組織形成に働くことが示唆された。骨組織置換に関する長期安定性については検討中である。 平成28年度は、組織由来幹細胞の有用性に関する検討を予定しており、骨組織由来幹細胞及び脂肪由来幹細胞の調整と分化制御の検討と、BMPなどの細胞分化因子添加に関する検討を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度のハニカムβTCPの形状に関する検討では、ハニカムβTCP垂直孔はハニカムβTCP水平孔と比較して、頭蓋骨再建に用いる新規生体材料として優れた材料となる可能性が示唆された。 平成28年度は、ハニカムβTCPの長期安定性と骨組織置換において、幹細胞の調整と分化制御及びBMPなどの細胞分化因子添加の影響について解析を行い、さらに組織由来幹細胞の有用性についての検討を行う予定である。 平成28年度以降は、長期的に骨組織リモデリングを生じる頭蓋骨の作製が可能であるかを、動物実験、生化学的解析、細胞生物学的解析、組織学的解析など多角的に検討し、ハニカムβTCPが欠損頭蓋骨新規再建生体材料として特性を有しているのか総合的に評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度ハニカムβTCPを追加購入予定であったが、技術的に製作に時間を要しており、平成28年度の購入に繰り越したために繰越金が生じた。 以外の計画については、予定通り進行しており、リアルタイムPCR解析システムを購入、ハニカムβTCPによる骨組織再生に関する学会聴講のため旅費を申請している。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に購入できていないハニカムβTCPは、平成28年度に追加購入予定となっており、繰越金を使用する予定である。その他については、計画通りに進行する見込みである。
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