臨床応用可能なⅠ型コラーゲンを用いてハニカムβTCP埋入体を作製、頭蓋骨欠損部に埋入し、ハニカムβTCPの頭蓋骨再建材料としての適応性と、ハニカムβTCPの吸収および骨組織への置換について観察を行った。【方法】 実験動物としてウィスター系8週齢雄性ラットを使用した。全身麻酔下において実験動物の頭蓋骨にダイヤモンドバーを用いて切削、硬膜を温存して5×5㎜の骨組織欠損を左右2つ作成した。その後、作成した欠損部位に4×4㎜の直径300μmの貫通孔を有するハニカムβTCPにBMP-2およびⅠ型コラーゲンを添加し埋入した。ハニカムβTCPは骨組織に対して水平貫通孔と垂直貫通孔の2方向にそれぞれ埋入した。2018年度は、ハニカムβTCPを5匹のラット頭蓋骨欠損部に充填、3匹のラットをコントロールとして、欠損部モデルを作成した。1か月目と6か月目の定点で標本を作製し、コントロールとの比較と、頭蓋骨再生の評価を行った。【結果と考察】 ハニカムβTCP水平貫通孔(BMP-2非添加群)において、硬膜側に旺盛な新生骨組織の形成が認められたことから、硬膜側から骨膜側に向かって骨組織形成が生じていると考えられた。また垂直貫通孔(BMP-2非添加群)では全ての孔に新生骨組織の形成が認められたことから、Ⅰ型コラーゲンを用いたハニカムβTCP垂直貫通孔において、より効率的に骨組織再生が期待できると考えられた。ハニカムβTCP垂直貫通孔の埋入後6ヶ月では、BMP-2非添加群、添加群ともに全ての孔を充填するように骨形成が認められた。しかしながらハニカムβTCPの吸収、骨組織への置換はBMP-2添加群において僅かに観察されるのみであった。以上のことから頭蓋骨欠損部におけるⅠ型コラーゲン添加ハニカムβTCPは強い骨組織形成能を有しているが、TCPの吸収・骨組織への置換は観察されなかった。
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