研究実績の概要 |
申請者らは、糖尿病(DM)性創傷治癒遅延の要因として炎症が長期化すること、また炎症本態としてのDM由来好中球が炎症制御に関与する機能異常を生じた可能性があることを示唆した。そこで、糖尿病性皮膚創傷治癒遅延に関与するDM由来好中球制御の分子メカニズム解明のため、DM由来の好中球特異的に発現するmiRNAおよびmRNAを同定し、包括的に解析した。 8週齢のDM、非DMモデルマウスより骨髄由来細胞を回収し、MACS細胞分離システムにより、Anti-Ly-6G MicroBead KitおよびNeutrophil Isolation kitを用いて、好中球を分離する。分離した好中球よりMicroRNA isolation kit, Mouse Ago2を用いてmiRNAを精製し、SurePrint G3 Mouse microarrayを行った。一方、好中球よりmiRNeasy Mini Kitを用いてTotal RNAを抽出し、Miseqによる次世代シークエンスを行った。 申請者らは、DM由来好中球において、100以上のmiRNAが2倍以上の発現変動を示すことを明らかにした。また、1000以上のmRNAの発現変動を認めた。これらの結果は、糖尿病の好中球機能異常に多数の遺伝子が関与しており、またそれらの遺伝子の発現調節にmiRNAが関与している可能性が示唆された。現在、miRNAが標的とするmRNAを複数の解析ソフト(TargetScan, miRDB, microRNA.orgなど)を用いて予測し、GO解析、パスウェイ解析等により炎症制御に関与する遺伝子群を同定している。
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