研究課題/領域番号 |
15K20332
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐久間 稔惠 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10732620)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インフルエンザウイルス / ヒストン修飾 / 感染 / ChIP-seq解析 |
研究実績の概要 |
ヒストンのN末端のアミノ酸残基は、さまざまな修飾を受け遺伝子発現の制御を行う。ヒストンの修飾変化を介した遺伝子発現の制御は、さまざまな疾患の発症に関与しているが、インフルエンザウイルス感染とエピジェネティクス制御の関連は、ほとんど明らかにされていない。本研究課題では、ヒストンメチル化を介したエピジェネティクス制御に着目し、インフルエンザウイルス感染により生じるヒストンメチル化修飾の変化を解析し、ヒストンメチル化により制御されている遺伝子の同定、さらに修飾に関わる酵素や関連分子の機能を解析することにより、インフルエンザの病態におけるヒストン修飾制御機構の役割を明らかにすることを研究目的とした。
1.インフルエンザウイルス感染におけるヒストンメチル化状態を解析する為、野生型とヒストンメチル化酵素欠損細胞を用い、ヒストンのメチル化状態をウエスタンブロット法、免疫染色法により解析した。さらに、インフルエンザウイルスに感染させた野生型およびヒストンメチル化酵素欠損マウスより肺を摘出しヒストンメチル化状態の経時的変化をウエスタンブロット法で解析した。これらの解析によりインフルエンザウイルス感染によるメチル化状態の経時的変化を明らかにした。
2.ヒストンメチル化修飾制御の標的となる遺伝子をメチル化ヒストン抗体を用い、クロマチン免疫沈降-高速大量シークエンス法 (ChIP-Seq)により同定した。インフルエンザウイルスを感染させた野生型とヒストンメチル化酵素欠損細胞を用いてクロ マチン免疫沈降(ChIP)を行い、得られた遺伝子を高速大量シークエンスにより 解析した。得られた結果よりメチル化ヒストンがターゲットとしている遺伝子を同定し、感染に伴うヒストンメチル化修飾を介した遺伝子制御機構を明らかにしている。同定した遺伝子に関しては現在さらに解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画である、1. インフルエンザウイルス感染におけるヒストンメチル化状態の解析に関して、ヒストンのメチル化状態の解析(ウエスタンブロット法と免疫染色法)が終了した。質量分析法解析では、海外への受託に問題があり国内での解析を現在検討中である。 また、2. ヒストンメチル化修飾制御の標的となる遺伝子をメチル化ヒストン抗体を用いたクロマチン免疫沈降-高速大量シークエンス法 (ChIP-Seq)により同定の項目に関しては、いくつかの遺伝子の同定を行い、現在その遺伝子のかかわりに関して解析を進めている。さらにChIPの調整が終わったサンプルに関しては現在高速大量シークエンスの解析中で、データ取得を徐々に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後メチル化酵素が核内のどの様な宿主あるいはウイルスタンパク質と結合しているかを同定する為、免疫沈降法により解析を行う。
さらに、メチル化酵素欠損がインフルエンザウイルス感染症の病態及ぼす影響を検討するため、野生型マウス、ヒストンメチル化酵素欠損マウスにインフルエンザウイルスを感染させ、体重の変化、生存率、ウイルスの増殖能(ウイルス RNA 量、 ウイルスタンパク量、ウイルス価) 、肺の病理所見を比較検討する。
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