研究課題/領域番号 |
15K20334
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
富田 啓介 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (80568668)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭部外傷 / DAI / 瀰漫性軸策損傷 / rat / 頭部外傷モデル / biomarker |
研究実績の概要 |
瀰漫性軸索損傷(DAI)は頭部外傷の中でも最も遭遇する病態の1つであり、大きな回転加速度を伴う頭部の衝撃により生じる剪断力によって生じる。致死率が高く重篤な病態であり、その早期診断が求められるが、頭部CT検査では検出されないことも多く、様々な原因で意識障害をきたしうる外傷患者において診断が遅れることも少なくない。そのためDAIの早期診断、重症度判定、予後予測のために種々のbiomarkerが検討されてきたが、いまだ確立されたものはない。本研究の目的は、biomarkerによるDAIの診断精度の検討を行い、また神経学的評価や形態学的、生化学的な評価と併せて重症度評価に有用であるかの検討を行うことである。 現在は、Marmarou`sモデルをもとにDAIモデルratの作成を行っている。塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールの混合液(以下3種混合液)を腹腔内投与することで全身麻酔を行い、その後にweight drop法にてDAIモデルratを作成している。全身麻酔薬の投与量の調整、外傷作成におけるweightの重量や落下させる高さを調整し、安定したDAIモデルratの作成を検討している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に用いる外傷作成装置の準備、動物実験施設における準備、動物飼育のための物品購入などに時間を要しておりようやく種々の準備が整ったところである。また本研究に割くことのできる時間を確保することが困難であったため実験開始が遅れてしまった。現在ratの飼育を開始し、予備実験として全身麻酔下に安定した頭部外傷モデルの作成を行っているところであるが、本研究に関して指導者はいるものの研究実施者は動物実験に不慣れであり、手技が不安定なことも研究が遅延している一つの原因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように種々の準備が整ったところであり、現在頭部外傷モデルratを作成しはじめたところであるため、安定したDIA ratを得ることができれば、採血、脳脊髄液の採取などを行っていく予定である。またtau蛋白測定方法に関しては他の研究にて取得済みであり、proteome解析に関しても実験に関する協力者を得られたため、今後本研究を推進していけるものと考えている。 また、他の研究に要する時間が少なくなったため、本研究に割くことが出来る時間も増えるものと予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
現時点で本研究の進捗状況としては遅れている状況である。本来であればすでに動物実験を終えて解析の段階に入っていたいところであったが、まだ安定したDAIモデルratの作成に至っておらず、動物実験にかかる費用や(実験動物の費用、餌の費用、種々の消耗品の費用など)、得られた検体にてbiomarkerを測定するための検査費用(ELISA kitの購入費用など)、proteome解析を行うための費用などに未購入となったものがある。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物の購入、飼料の購入、実験資機材の購入に関する費用と、検体を得られた後のtau蛋白を始めとしたbiomarker測定のための物品購入、proteome解析のための物品購入に関する費用に加え、統計解析ソフトの購入や関係学会への参加費用、英語校正のための費用としての使用を予定している。
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