研究実績の概要 |
びまん性軸索損傷(diffuse axonal injury: DAI)の重症度と血清タウ蛋白濃度との関連を評価するために、DAIモデルラットを作成して解析を行った。2016年度はMarmarouらの手法を用いてDAIモデルラットを安定して作成することができ、検体の採取および測定、解析を行うことができた。 検体は血清を分離しー80℃にて冷凍保存した。enzyme linked-immunosorbent assay(ELISA)法(rat, LSBio, WA)を用いてタウ蛋白の測定を行った。 DAI受傷後60分時点の血清タウ蛋白濃度は各群間で統計学的に有意な差を認めた(sham<mild<severe, sham vs. mild, p=0.024; mild vs. severe, p=0.018)。 この実験の結果により、DAIの重症度が増すにつれて血清タウ蛋白濃度が上昇することが示された。現状では臨床の現場において受傷後早期にDAIの重症度を予測することは困難であるが、血清タウ蛋白を測定することでその重症度を推測することができるという点で非常に有意義なbiomarkerになる可能性が示唆された。
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