Ncx(Neural creast homeobox) knockout(KO)マウスは腸管神経叢の増加とともに腸管上皮バリア機能の障害が示唆されている.一方,敗血症の病態においては,腸管上皮細胞のapoptosisが亢進しているため,腸管のapoptosisの制御が敗血症の病態改善に有効であるとされる.そこで,WT(Wild Type)マウスとNcx KOマウスにcecal ligation and puncture(盲腸結紮穿孔;CLP)を施行して腹膜炎による敗血症を惹起させsurvival studyを行ったところNcx KOマウスのCLPモデルは有意差をもって早期に死亡した.この結果からNcx KOマウスの敗血症モデルはより重篤化することが予想された.さらに,Ncx KOマウスがCLPにより重篤化することと腸管のapoptosisの関係を明らかにするため各マウスの腸管につきTUNEL染色(蛍光免疫染色)を行った.腸管の採取は敗血症急性期の評価を想定しCLP施行から6時間および24時間で行った.一方,Ncx KOマウスではCLP施行後24時間以内に死亡する個体があったため,より侵襲の小さい腹膜炎モデルで検討すべくeasy stool methodモデルをWTとNcx KOマウスでそれぞれ作成し侵襲後の活動性によって重症度を評価するdisease activity scoreを経時的につけた.その結果,Ncx KOマウスでは早期にdisease activity scoreが高くなる傾向にあった.さらに,これらのマウスの血清を採取し炎症性サイトカインを測定したが有意差は認めなかった.また,近年敗血症の病態において臓器保護的作用が報告されているautophagyについても解析を行うためGFP-LC3 トランスジェニックマウスとNcx KOマウスを交配させ現在検討中である.
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