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2016 年度 実施状況報告書

一酸化炭素吸入はドナー臓器を保護しえるのか?ラット心臓移植を用いた検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K20354
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

藤崎 宣友  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90732644)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード一酸化炭素 / 虚血再灌流障害 / 心臓移植
研究実績の概要

一酸化炭素(CO)はヘム代謝を担うヘムオキセゲナーゼ(HO)により恒常的につくられており、ストレス誘導型のHO-1の細胞保護作用は、その代謝物質であるCOに起因するとされる。COは生理的であるが、治療濃度(20~500ppm)の短時間の吸入で強力な抗炎症作用、抗アポトーシス作用があることが報告されており、今回の研究はドナーグラフトの虚血再灌流傷害を抑制するメカニズムを探求する事である。
前年度に行った、CO吸入を24時間行ったドナー心臓組織のGene arrayから得られた結果は、想定していた抗炎症性メディエーターや抗アポトーシス物質、抗酸化物質等の期待した物質の遺伝子発現は得られなかった。そのため今年度は吸入一酸化炭素(CO)濃度、吸入時間の見直しを行い、再度ドナーグラフトの機能の評価を行うことで最適な条件の検討を行った。さらにmRNAの抽出、精製を見直し、カラム法やその他安定化試薬の使用など工夫を行ったが十分な検体を得るに至っていない。
そこで前年度の移植後3時間で差が見られたTNF-α、IL-6、iNOS、ICAM-1、ET1、VEGFなどに絞りCO吸入24時間行ったドナー心臓組織でmRNAを抽出しquantitative RT-PCRにより発現量を測定したが、移植後3時間で得られたような結果は得られなかった。検体採取ポイントを新たに設定し直す必要がある、またはタンパク発現を検討する必要があると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたgene arrayまで 前年度に施行することが出来たが、期待された結果が得られなかったため再検討を行った。初期条件の見直しを行い、実験を施行するも、期待される結果を得ることはできなかった。しかしながら、血清生化学評価、分子生物学評価、病理学的評価ではCOの有用性を示唆する、有意差のある結果が得られたため、これまでのデータをまとめ論文執筆を行い出版まで至った。ほぼ計画通りに進行しており概ね順調に進行していると思われる。

今後の研究の推進方策

COの有用性をさらに探求するため、グラフトの血管内皮細胞や心筋細胞の形態学的評価を電子顕微鏡を使用し行うことを検討している。また抗酸化タンパク質の発現調節を担っているNrf2-ARE経路に関し、COが細胞内に取り込まれた後のシグナル伝達を検索し、関連を調査していきたい。
ドナー脳死モデルの確立には習熟を要する。当初は気管切開の予定であったが、経口挿管し人工呼吸をすることで侵襲を減じ、安定したモデルを作成すべく実験を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

Gene arrayが想定より安価に施行できたため、今年度の予算が一部繰り越される事になるが、その他の予算で大きな齟齬はないと思われる。

次年度使用額の使用計画

次年度は安定したモデルを作成する事、それが困難であれば新たな実験系を確立する必要があると思われ、追加で機器を整備する必要が出てくる可能性が有ると思われる。当初の予定を遂行すべく実験を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Donor pretreatment with carbon monoxide prevents ischemia/reperfusion injury following heart transplantation in rats2016

    • 著者名/発表者名
      Noritomo Fujisaki, Keisuke Kohama, Takeshi Nishimura, Hayato Yamashita, Michiko Ishikawa, Akihiro Kanematsu, Taihei Yamada, Sungsoo Lee, Tetsuya Yumoto, Kohei Tsukahara, Joji Kotani, Atsunori Nakao
    • 雑誌名

      Medical Gas Research

      巻: volume6 ページ: 122-129

    • DOI

      10.4103/2045-9912.191357

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Donor pretreatment with carbon monoxide prevents ischemia/reperfusion injury following heart transplantation in rats2016

    • 著者名/発表者名
      Noritomo Fujisaki, Keisuke Kohama, Takeshi Nishimura, Hayato Yamashita, Michiko Ishikawa, Akihiro Kanematsu, Taihei Yamada, Sungsoo Lee, Tetsuya Yumoto, Kohei Tsukahara, Joji Kotani, Atsunori Nakao
    • 学会等名
      The 26th International Congress of The Transplantation Society
    • 発表場所
      Hong Kong
    • 年月日
      2016-08-20 – 2016-08-22
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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