ラット異所性心臓移植モデルを用い、ドナーラットへの低濃度一酸化炭素(CO)吸入による移植後虚血再灌流障害軽減を検討した。COは心筋マーカーであるCPK、トロポニンIを改善し、再灌流後の拍動再開を早め、炎症細胞の浸潤や炎症性メディエーターを抑制して、虚血再灌流障害を軽減した。血管拡張に関連するVEGFが増加することや、炎症性メディエーターの抑制が機序として考えられるが、それらを変動させる関連遺伝子の同定は本研究期間では明らかに出来なかった。しかし、本研究は脳死ドナーへのCO吸入の有効性や、一酸化炭素中毒など高COHb濃度のドナー組織の移植適応を考えるにあたっての学術的根拠となると考えている。
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