研究課題
本研究は、リン酸イオンの供給システムが骨基質石灰化に重要であることを踏まえて、モノリン酸合成酵素であるTNALPまたはピロリン酸合成酵素であるENPP1過剰活性が他の石灰化調節因子に対してどのような発現・局在変化を示すのか、また、骨基質石灰化にどのような異常を及ぼすかを明らかにすることを目的とし施行された。助成2年目となる平成28年度は、平成27年度に作製した骨芽細胞(前骨芽細胞含む)特異的にTNALPを過剰産生したTgマウス、および、軟骨細胞特異的にTNALPを過剰産生したTgマウスの骨組織における組織化学的および微細構造解析を行った。軟骨細胞特異的TNALP Tgマウスでは、骨端軟骨の静止・増殖軟骨細胞にTNALPの過剰発現が誘導されたにも関わらず、軟骨基質の石灰化は認められず、むしろ、ENPP1の過剰発現が誘導されたため骨組織における石灰化が抑制されていた。同部位を透過型電子顕微鏡観察したところ、石灰化結晶塊の形成が悪く、全体として石灰化度の低い骨基質が形成されていた。このことから、軟骨細胞で過剰発現したTNALPはリン酸モノマーを形成するだけでなく、同時に、ENPP1やNaPi co-transporter III (Pit1)、PHOSPHO1などの基質小胞に付随した酵素や膜輸送体の発現・活性に影響を与えて、石灰化の促進・抑制をコントロールする可能性が高いと推測された。現在、これら酵素や膜輸送体の発現・活性について、さらなる検索を進めている。
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