研究実績の概要 |
亜鉛輸送体ZnT4は乳腺において分泌顆粒内に亜鉛を取り込むことが知られている。ZnT4の自然発生型ミュータントマウスであるlmマウスを用い、唾液腺における機能の検討を行った。 1.飲水から亜鉛を除去して長期間維持した(亜鉛除去水)ホモlmマウスと野生型マウスの顎下腺における形態変化の検討を行った。 lmマウスは飲水に亜鉛を添加すると、形態的な表現型に異常を来さず維持できる。一方、亜鉛を添加せずに維持した場合、皮膚炎や腸炎の発症と共に乳腺の形態に退行性変性が生じることが明らかになっている(2015, Am J Physiol)。そこで、lmマウスおよび野生型マウスを77週間亜鉛除去水で維持し、乳腺及び唾液腺の形態変化を検討した。結果、亜鉛除去水群のホモlmマウスには、乳腺の萎縮、空胞変性、乳腺周囲への炎症細胞浸潤がみられた。一方、唾液腺にはサイズの増加がみられたものの、乳腺にみられたような形態変化はみられなかった。 2.Western blottingにより処女、妊娠期のlmマウス乳腺と顎下腺におけるタンパク質発現を検討した。結果、処女期と妊娠期でZnT4のタンパク質を示す40kDaのバンドの蛍光強度が増強していた。一方、顎下腺には同バンドが弱陽性を示していた。 3.マウス唾液腺の分泌顆粒膜上におけるZnT4の局在を明らかにする目的で、過去の文献に則って(J Biol Buccale, 1982)分泌顆粒の精製を試みたが、他の成分の夾雑物を排除するのが困難だった。現在、分泌顆粒リッチな画分の精製を施行している。
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