研究課題/領域番号 |
15K20370
|
研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
林 徹 朝日大学, 歯学部, 助教 (10454266)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | マイクロRNA / 上皮間葉相互作用 / 唾液腺 / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
予備実験により胎仔マウス唾液腺の組織間において、マイクロRNAがシグナルとして利用されていることが示唆されている。唾液腺間充織と乳腺上皮を再構成させると、本来は乳腺となる上皮が唾液腺様の形態を示すという報告(Sakakura et al., Science, 1976)があり、組織間シグナルとしてのマイクロRNAもその現象に寄与していることが考えられる。当然ながら唾液腺上皮と乳腺上皮は同じゲノムDNAを有しているため、唾液腺の間充織はエピジェネティックな変化(エピジェネティクス:DNA塩基配列の変化によらない遺伝子発現の変化)を、乳腺上皮にもたらしていると思われた。そこで、まずは唾液腺の発生期におけるエピジェネティクスの変化について基礎的な知見を得るため、胎生期13日齢から胎生期16日齢にかけてのエピジェネティクスの変化を調べた。本研究ではメチル化あるいは脱メチル化されたシトシン(それぞれ5-mc、5-hmc)に着目し、それぞれに特異的な抗体を用いたwhole mount 免疫染色を実施し、共焦点レーザー顕微鏡観察により各胎生期の唾液腺を観察した。その結果、胎生期の間充織および上皮における5-mcと5-hmcの分布パターンについて、知見が得られつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎仔マウス唾液腺の発生期におけるエピジェネティクスについて、これまで知られていない知見が得られつつある。当初計画とは異なる着想およびアプローチだが、唾液腺のエピジェネティクスを調節するマイクロRNAが明らかになると期待され、本計画の目的である乳腺上皮を唾液腺様へと変化させる機構の解明に繋がると考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
唾液腺間充織により脳下垂体上皮にアミラーゼの発現が誘導される報告(Kusakabe et al., Dev. Biol., 1985)もあることから、乳腺のほか脳下垂体についても調べる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画を変更したほか、2015年度限りで所属先を異動することになったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
2016年度分として請求した助成金と合わせ、新しい所属先にて研究計画の遂行のために使用する。
|