研究課題/領域番号 |
15K20372
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浅野 智志 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (30570535)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞移動 / イノシトールリン脂質 / 細胞増殖 / 乳腺癌細胞 |
研究実績の概要 |
PLC-related catalytically inactive protein (PRIP) knockout MEFを用いた実験により、PRIPが細胞膜PI(3,4,5)P3の調節タンパク質でありPI(3,4,5)P依存的な細胞移動やAkt経路のシグナリングを制御していることを見出した。ある種の癌細胞では、このようなPI(3,4,5)P3関連経路(PI3K-Akt経路)が活性化しており、癌細胞増殖や転移能亢進の要因となっている。本研究において我々はPI3K機能亢進が確認されている乳腺癌細胞MCF-7にPRIPを導入し、PRIPを恒常的に発現するMCF-7細胞株を樹立した。MTT アッセイによって細胞増殖を調べたところPRIP 発現 によって細胞増殖が抑制されることがわかった。Random migration assay、wound healing assay によって細胞の移動能を評価したところPRIP 発現 によって細胞移動が抑制されることがわかった。またウエスタン ブロッティングによってPI3K-Aktシグナル経路の活性を調べたところPRIPを発現させた細胞ではこの経路が抑制されていることが明らかとなった。これらの結果は、PRIPが癌細胞の増悪化を抑制する新たな分子であることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PI3K機能亢進が確認されている癌細胞におけるPRIPの細胞生物学的な機能解析は予定通り終了することができた。さらにPI(3,4,5)P3代謝酵素PTENの減少によりPI(3,4,5)P3量が恒常的に増加している乳腺癌細胞BT-549に外因性PRIPを発現させた細胞株も作製中であり、当初の予定通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
作製したPRIPを安定発現するMCF-7を免疫不全マウスに投与し、肺や骨への転移能を生体レベルで評価する。 また、この細胞を免疫不全マウスの皮下に投与し増殖能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫不全マウスを用いた動物実験の許可が下りるのが遅れ、マウスの購入費と維持費に関する支払い分が余ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
免疫不全マウスを用いた動物実験の許可が下りたので、マウスの購入費と維持費に当てる。
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