口内炎ができるとひどい痛みが生じるが、その痛みがどのように発症するのかよく分かっていない。本研究では、口内炎部から組織内に侵入した口腔内細菌と口内炎の痛みとの関係を明らかにするために、口内炎モデルラットを用いて痛みの評価と抗菌作用を持つ遺伝子の発現レベルを調べた。口内炎により自発痛や接触痛が生じたが、抗菌薬を投与することでこれらの痛みは減弱した。また口内炎の発症に伴い、神経や口内炎部組織での抗菌作用を持つ遺伝子発現レベルが増強した。口内炎部から細菌が侵入し、痛みを伴う口内炎が発症すること、その際に神経や口内炎部組織から抗菌物質が分泌される可能性が考えられた。
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