口腔扁平上皮癌・上皮内癌が非癌上皮との間に形成する明瞭な上皮内界面が、病理組織標本上でしばしば観察される。この癌‐非癌界面は生体内での細胞競合現象の場であると仮説を立て、検証した。病理組織標本の検討で、界面に面する癌組織にアポトーシスや硝子体、細胞傷害との関連を示唆する組織・細胞変化を認めた。病理組織標本から選択採取した癌・非癌組織それぞれの界面近接・非近接組織を材料に、LC-MS/MSによるプロテオーム解析を行ったところ、癌あるいは非癌界面近接組織で特異的発現増減を示す7分子を同定した。以上より、これらの分子が、癌細胞が敗者となりうる細胞競合現象メカニズムに関わっている可能性が示唆された。
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