MRIの撮像技術であるDIXON法(6 point DIXON)を使用し、健常者およびシェーグレン症候群患者の唾液腺内(耳下腺・顎下腺)の脂肪含有率を定量評価した。 はじめに、健常者の耳下腺・顎下腺の脂肪含有率を6 point DIXON法とMR spectroscopy法の2種類の方法で測定し、まず6 point DIXON法が臨床的に有用かどうかMR spectroscopy法の結果と比較することで検証した。結果としては両者に非常に高い相関が認められた。また、MR spectroscopy法のMulti TEによりT2時間の影響を考慮した場合においても非常に高い相関が認められた。これより、6 point DIXON法が臨床的に有用であることが証明された。 次に、健常者の耳下腺・顎下腺の脂肪含有率を6 point DIXON法で測定し、脂肪含有率と身体的特徴(身長・体重・BMI)および血液データ(総コレステロール・中性脂肪)との相関関係を検証した。結果として、耳下腺はBMIとの間、顎下腺はBMIおよび中性脂肪値との間に正の相関が認められた。 次に、健常者とシェーグレン症候群患者の耳下腺・顎下腺の脂肪含有率を比較した。結果として、顎下腺ではシェーグレン症候群患者の脂肪含有率は有意に大きかった。耳下腺に関しては脂肪含有率の平均値に有意差はみられなかったが、標準偏差においてはシェーグレン症候群患者の脂肪含有率が有意に大きかった。シェーグレン症候群のグレード分類に関しては、対象患者のほとんどが高度に進行した状態で軽度~中程度の患者データがを集めれなかったため行うことができなかった。 本研究により、シェーグレン症候群の唾液腺内脂肪変性の定量化の可能性が広がった。今後、シェーグレン症候群の新たな診断法の確立や治療法の開発に貢献すると思われる。
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