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2015 年度 実施状況報告書

口腔細菌を起因とするNAFLD病態形成機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K20392
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

大坂 利文  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70514470)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードNAFLD / 口腔病原体 / 歯周病
研究実績の概要

非アルコール性脂肪肝疾患(Non-Alcoholic Fatty Liver Disease, NAFLD)はメタボリックシンドロームの肝表現型である。約2割のNAFLD患者は、予後不良な非アルコール性脂肪肝炎(Non-Alcoholic Steatohepatitis, NASH)を発症し、肝硬変および肝癌への進展リスクが高い。NASHは、細菌感染・エンドトキシン・サイトカインなどが肝細胞障害ストレスとなって発症すると考えられているが、その実体は不明のままである。そこで本研究では、肥満個体における免疫応答および腸内細菌叢の質的・量的な変化に着眼し、口腔細菌の異所性感染などの内因性感染症とNAFLD病態形成の関連性を解明することを目的としている。平成27年度は、食事誘導性肥満マウスモデルに口腔病原体であるPorphyromonas gingivalisおよびStreptococcus intermediusを持続投与(経胃投与)した場合に、NAFLDの病態進展に与える影響を評価した。P. gingivalisを約12週間投与したマウス肝臓の病理解析を行ったところ、脂肪肝の形成は認められたものの、対照群と比べて大きな変化は認められなかった。S. intermedius投与群では、肝線維症を呈するマウスを確認した。また興味深いことに、口腔病原体の持続投与は小腸あるいは大腸における炎症性サイトカインの産生に影響を与えなかったが、肝臓における炎症性サイトカインの産生能が亢進していることがわかった。また、口腔病原体の流入は腸内細菌叢のバランス異常を誘発することも明らかとなった。以上をまとめると、肝臓は口腔病原体の持続的な腸管への流入に伴う腸内環境の変化を感知しており、NAFLD感受性が増加している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

口腔病原体の下部消化管への流入が、腸内細菌叢のバランス異常の誘発および肝臓での炎症応答の増強を見出すことができたため。

今後の研究の推進方策

口腔病原体の下部消化管への流入によって生じた腸内細菌叢の変動メカニズムを明らかにするとともに、腸管および肝臓における免疫細胞の動態についても解析を進めていく。また、歯周局所における感染や炎症がNAFLD病態に与える影響についても評価していく。その際、高カロリー食誘導性肥満モデルではその影響評価が不十分である場合は、その他のNAFLDモデルを導入して検討を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

本年度は腸内細菌叢の評価を重点的に行ったため、免疫学的解析に使用する物品費が抑えられたため。

次年度使用額の使用計画

平成28年度の計画として免疫学的解析は当初の予定どおり実施していくため、解析に必要な物品費として使用していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Liver senses gut environmental alteration induced by oral pathobionts2016

    • 著者名/発表者名
      大坂利文, 阿部義廣、上芝秀博、常田聡、八木淳二
    • 学会等名
      第89回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      大阪国際交流センター(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-03-23 – 2016-03-25

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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