研究課題
松本歯科大学病院において、パノラマX線撮影と歯科用コーンビームCTにより下顎小臼歯部から大臼歯部を撮像した45歳以上の男女50人を被験者とした。パノラマX線装置はAZ3000(朝日レントゲン工業株式会社、京都)、歯科用コーンビームCT装置は3D Accuitomo○R タイプF17(株式会社モリタ製作所、京都)を用いた。パノラマX線撮影は通常の臨床で使用されるオート撮影モード(管電圧60~86kV、管電流2~12mA、撮影時間15秒)で行った。取得したパノラマX線写真において全身の骨粗鬆症化の指標とするために下顎骨下縁皮質骨の形態を3型に分類した(1型:皮質骨の内側表面がスムーズなもの、2型:皮質骨の内側表面は不規則となり、内側近傍の皮質骨内部に線状の吸収があるもの、3型:皮質骨全体に渡り高度な線状の吸収と皮質骨の断裂があるもの)。歯科用コーンビームCTの撮像も通常臨床で使用される管電圧90kV、管電流7mA、撮像時間17.5秒、撮像範囲φ60mm×H60mmで行った。再構成はスライス間隔0.25mm、スライス厚0.5mmで行い、濃度は初期設定の状態としビットマップ形式で保存した。それらの画像を3次元画像解析ソフトウェア:TRI/3D-BON(ラトックシステムエンジニアリング株式会社、東京)に取り込み骨梁解析を行った。なお、解析領域は下顎骨下縁から10mm上方、近遠心的にオトガイ孔から第2大臼歯遠心相当部までの範囲とし、(1)全骨の骨量(2)皮質骨領域(3)全骨における皮質骨領域の割合(4)海綿骨領域(5)全骨における海綿骨領域の割合(6)海綿骨の骨密度(7)Parallel Plate models(8)海綿骨の3次元フラクタル(9) TBPf(10)SMI2(11)Star Volume(12)MIL(13)海綿骨のnode-strutについて解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
現在までに当初の計画通り、50人の被験者のパノラマX線写真において下顎骨下縁皮質骨の形態を3型に分類している。また、同様に歯科用コーンビーム画像についても3次元画像解析ソフトウェア:TRI/3D-BON(ラトックシステムエンジニアリング株式会社、東京)に取り込み、(1)全骨の骨量(2)皮質骨領域(3)全骨における皮質骨領域の割合(4)海綿骨領域(海綿骨+骨髄腔)(5)全骨における海綿骨領域の割合(6)海綿骨の骨密度(7)Parallel Plate models(骨梁幅、骨梁数、骨梁間隙、骨梁中心距離)(8)海綿骨の3次元フラクタル(9) TBPf(骨パターンファクター)(10)SMI2(骨梁の板、棒形状の指標)(11)Star Volume(骨粗鬆化程度の指標)(12)MIL(骨梁構造異方性)(13)海綿骨のnode-strutの13項目について解析を行っている。
取得した解析項目をパノラマX線写真で分類した下顎骨下縁皮質骨の形態3型間で比較検討する。統計はOne way ANOVA、多重解析にはBonferroniを用いる。同時にパノラマX線写真から残存歯数や計測部歯数も記録し、3型間で有意差が存在する場合は残存歯数や計測部歯数を補正したANCOVAにより解析を行う。また年齢と歯科用コーンビームCT画像より得られたパラメータとの単相関についても検討する。
発表を予定している学会が平成29年度に行われるので、その旅費等に充当するため。
学会において発表するための旅費等に使用する。31st IADR-SEA & 28th SEAADE Annual Scientific Meeting (Taiwan) 及び65th Annual Meeting of the Japanese Association for Dental Research (Tokyo)を予定している。
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: -
10.1038/srep29199
10.1038/srep36309