研究課題/領域番号 |
15K20396
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秋山 茂範 東北大学, 歯学研究科(研究院), 研究科・研究員 (50747574)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再石灰化 |
研究実績の概要 |
近年,MIの概念の普及に伴いホワイトスポットに対する再石灰化処置が検討されているが,現状最も効果的な処置であるフッ化物の歯面適応ではホワイトスポット深部にまで充分に再石灰化させることは困難である。そこで本研究の目的は,1)水溶性バイオアクティブガラスを配合した,2)マルチイオン放出性コーティング材料を新たに開発し,ホワイトスポットに対する新規処置手段を確立することにある。 今年度は,以下の2点について研究を行った。 1)水溶性バイオアクティブガラスの開発 ガラス原料を混合・焼成することで水溶性バイオアクティブガラスを作製した。このガラスが水に溶解することを確認し,さらに溶解スピードを制御することも可能となった。また水中にリン・カルシウム・フッ素等のホワイトスポットの再石灰化に重要なイオンも放出されることをICP測定により確認した。現段階ではガラスの粉砕に時間がかかっているため,より効率的な粉砕条件の検討を進め,コーティング材料に配合する場合に最適なガラス粒径の検討を進めていく予定である。 2)マルチイオン放出性コーティング材料の配合検討 水溶性バイオアクティブガラスを配合したコーティング材料を試作し,JIS T6611に準じて歯面への接着性を評価した結果,接着耐久性を充分に有することが確認された。しかしながら,コーティング材料の長期保存性については未確認であるため,今後は保存性と接着性を両立し得るコーティング材料の開発を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では,新規水溶性バイオアクティブガラスの水溶解性やイオン放出性に問題ないことが確認でき,マルチイオン放出性コーティング材料の歯質接着耐久性を評価することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ホワイトスポット再石灰化に最適なマルチイオン放出性コーティング材料の開発を引き続き進め,以下に示した評価を行う。 1)より効率的なガラス粉砕条件の検討を進め,粒径の異なるガラスを用いた水中への経時的なイオン徐放量の制御方法について検討する。 2)コーティング材料の配合検討を行い,長期保存性・接着耐久性の評価をJIS T6611に準じて評価する。 3)牛歯へコーティング材料を塗布して歯質の脱灰抑制評価・再石灰化評価を行うことで,コーティング材料の有用性について検証を行う。さらに口腔粘膜上皮細胞を用いた細胞毒性試験により生体安全性の検証も同時に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い,予算内で達成できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度請求額と合わせ,次年度に計画しているマルチイオン放出性コーティング材料開発の研究遂行に使用する予定である。
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