研究実績の概要 |
今まで除去不能と言われていたMTA、バイオセラミックに対して超音波装置、歯科用Er:YAGレーザーを用いて抜去歯根内に根管充填したMTAおよびバイオセラミックスの除去の検討を行い、さらにその気泡が入りやすいと言われていたMTA充填に対して新しい充填法を検討した。単根ヒト抜去歯を使用した.歯根長10 mmとなるように調整し,根尖部3 mmを切断した.根管形成バー#3(にて根尖まで形成を行い,その後,試料を無作為に以下の3群に分けた.すなわち手術用顕微鏡(OPMI pico with MORA interface, CarlZeiss)にて観察しながら,根管内のMTA充填材を注水下Er:YAGレーザー(Erwin AdvErL, C600F, モリタ, 350 mJ 10 pps)照射した群(Laser群),注水下超音波(ENAC,SC4,オサダ,設定値3)を用いて切削した群(US群),回転切削器具(Tri Auto Mini, Orifice Shaper #5, モリタ, 300 rpm, 3.0 Ncm)を用いて切削した群(NiTi群)にて器具が根尖まで達するまでの時間を計測した.NiTi群のすべての試料においてMTA除去不能であった.またLaser群(601.8±142.7秒)はUS群(989.0±225.67秒)に比較して根尖まで器具が達するまでの除去時間が有意に短かった(p<0.05).形態観察においてすべての試料で穿孔や歯根破折等は認めず,Laser群では根尖部まで均等にMTAが除去されており,US群では根尖に近づくほど残存したMTAを認め,黒色に着色していた.さらに根管充填は気泡ができやすいとされていたものの、超音波を充填中に作用させると緊密に充填され、さらに側方の側枝にも充填が可能であった。これらの成果の一部を第146回保存学会にて発表する。
|