研究実績の概要 |
粉液タイプのデュアルキュア型レジンセメント(ジーセム, GC)の粉にCHXを0.5, 1, 2, 5, 10, 15 %となるよう配合したCHX配合セルフアドヒーシブセメント,およびペーストタイプのデュアルキュア型レジンセメント(ジーセムリンクエース, GC)のペーストに最終濃度が0.5, 1, 2, 5, 10, 15 %となるようにCHXを配合したセメントを試作することに成功した。 硬化させたセメント試料を滅菌蒸留水に浸漬して溶出したCHXの濃度を14日後まで測定したところ,ジーセムはCHXを5%以上配合したセメントにおいて持続的な溶出が認められ,ジーセムリンクエースについてはすべてのCHX配合セメントで持続的な溶出が確認された。CHXのStreptococcus mutansおよびEnterococcus faecalisに対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定したところ, 両菌ともにMIC値は3.2 μg/mLであり,溶出試験において測定期間を通してMIC値以上の溶出濃度を維持していた試料は,15%CHX配合ジーセムおよび5, 10, 15%CHX配合ジーセムリンクエースであることがわかった。 また,阻止斑形成試験により抗菌効果を検討したところ,ジーセムはCHX配合濃度が5%以上のセメントにおいて上記2菌に対して抗菌性を示し,ジーセムリンクエースにおいては,1%以上CHXを配合したセメントにおいて抗菌性を示した。さらに,5, 10, 15%CHX配合ジーセムリンクエースについては,14日間滅菌蒸留水浸漬後も抗菌効果を示すことが明らかとなった。 つづいて,5%CHX配合ジーセムリンクエースの硬化試料上でS. mutans菌液を24時間嫌気培養したところ,細菌は完全に死滅し,5%CHX配合ジーセムリンクエースが硬化後に強い殺菌作用を示すことが明らかとなった。
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