研究実績の概要 |
昨年度,遂行してきたa-PDTから発生する一重項酸素(1O2)の殺菌メカニズムの解明について難治性根尖性歯周炎関連菌であるEnteroccous faecalis (E.faecalis)やCandida albicans (C.albicans)に作用させ,殺菌される過程をSEMにて観察した研究報告を第28回日本レーザー歯学会総会・学術大会にて発表報告した。本結果から1O2発生量依存的にが物理的損傷を菌体膜表面に与えることによって死菌に至る事を示唆した。そして現在,そのデータの裏付けとして,1O2が菌体表面に損傷を与え,過酸化脂質を産生することによって発生するフリーラジカルをESR spin-trapping法にて補足し,1O2の発生量および殺菌率との3者相関関係を解析中である。 本系から発生する1O2の細胞為害性についてin vitroで研究を行った。結果,a-PDT作用後,インキュベート時間依存的に細胞生存率の低下を示したが有意な差は示さなかったこと,臨床おいては基本的に根管内で用いる事を考慮し,為害性は他の根管洗浄剤であるNaclOなどと比較した際に限りなく少ないものと考えている。 また酸化チタンを光触媒として可視光線を照射することで発生する1O2,スーパーオキサイドアニオン,ヒドロキシラジカルをESRにて測定し,それらの活性酸素種を用いた殺菌法や骨芽細胞培養中に作用させ,骨芽細胞の骨形成能促進作用についても検討した。 培養ヒト歯髄細胞に対して半導体レーザーを低出力で照射する事で硬組織形成能に及ぼす影響について検討し,波長によって硬組織形成能の違う事を示唆する結果を論文執筆した。
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