研究実績の概要 |
これまでEr:YAG laserのコンポジットレジン修復への応用に関して国内外問わず数多くの研究報告がみられるが、その内容は回転切削と比較して象牙質への接着性に劣るとするものである。Er:YAG laserは歯科医療保険で認可され臨床使用されているにも関わらず象牙質接着法が確立されていない状態である。 これまでの研究結果から、レーザー切削象牙質面にリン酸エッチングやNaClOなどの表面処理剤を併用すると接着強さが改善することがわかっている。表面処理剤を併用すると象牙細管が大きく開口していることから、プライマーの浸透性が向上したために接着性も向上しているものと考えられるが、通常より深部に浸透したプライマーにより歯髄の炎症を惹起する可能性も考えられる。 本研究では、蛍光色素(ローダミンB)を混入したセルフエッチングプライマーを応用した象牙質の横断面を共焦点レーザーで観察することにより、回転切削とレーザー切削のプライマーの浸透性の違い、表面処理による浸透性の変化を観察することを目的としている。ローダミンBの濃度が高すぎるとプライマーの粘度が上がり、浸透性が著しく低下するため、配合するローダミンBの濃度は0.05~0.1%が良いことが昨年までの研究でわかっていた。0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1%の試料を各10個ずつ作製し観察を行った結果、0.05,0.06%では蛍光が弱く観察しにくく、また、0.09,0.1%では蛍光が強すぎて細管間がつぶれたように見えてしまうこともあり観察しずらいことがわかった。
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