本研究では、賦形性を付与できるDNAジェリー状スキャフォールドと歯根膜由来間葉系幹細胞シート併用における新しい歯周組織の再生療法を目的とし研究を行った。現在行われている歯周組織再生療法において、適応症はスペースメイキングが可能な垂直性骨吸収のみという制限がある。しかし、我々が開発した賦形性を有するジェリー状DNAスキャフォールドを利用することにより、水平性骨吸収部位にもスペースメイキングを可能にし、歯槽骨を誘導できると考えた。また、DNAジェリーにUVを当てることでDNAを架橋させ、溶解の速さを調節することが可能になるのではないかと考え、DNAジェリーの分解速度の調整に成功した。また、DNAジェリーをラット頭蓋骨に作製した骨欠損内に填入すると骨の新生を促進することが分かった。 歯根膜は歯周組織への栄養供給や咬合力の緩衝作用や触圧感覚、そして口腔内細菌からの感染のバリアの役割を担っている。本研究では、歯根膜の再生を誘導するために歯根膜由来の間葉系幹細胞シートを併用することにより、これまで不可能とされてきた水平性骨吸収部位において、健全で、機能的な歯周組織の再生を可能とする新規再建システムの開発を目指した。歯根膜由来間葉系幹細胞シートを作製しようと試みたが、シート状に作製することが困難であった。歯根膜由来間葉系幹細胞を採集することは可能であったため、培養方法の工夫が必要であると考える。今後の研究課題として歯根膜由来間葉系幹細胞シートの効率的な作製方法の確立を目指す。
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