研究課題/領域番号 |
15K20422
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水戸 武彦 東北大学, 大学病院, 大学院非常勤講師 (40734281)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科インプラント / 有限要素解析 / 皮質骨 / 海綿骨 |
研究実績の概要 |
歯科インプラント機能時に口腔内で生じる非線形・動力学的挙動を、材料粘弾性と動的荷重条件を反映した非線形・動的有限要素シミュレーションにより解明する。本研究は既存の有限要素解析研究(以下、FEA)における線形・静的解析を発展させ,構造物の動力学的挙動を捉えることで,歯科インプラントの生体力学的最適化へと繋げる革新的な試みである。 申請者らは,インプラント支台義歯使用患者から得られたCT データを用いて、本学工学研究科数理システム設計学分野と共同で開発したFEA 応力解析システムを用いて顎骨の幾何形状および骨内材料不均質性を明らかにした。またインプラントに加わる荷重量および方向を、当分野の依田らによって開発された三次元的にリアルタイム測定するシステムにより得られた荷重データを用いて,歯科インプラント埋入方向が機能時の顎骨内応力に対して与える影響に関する報告を行った。本研究は、これらの知見を発展させ非線形・動的力学挙動を解明することにより、歯科インプラントにおける臨床的偶発症の予防、ひいては生体力学的最適化へ寄与するものである。 今年度は有限用要素解析モデル(以下、FEモデル)の作成を行った。具体的に名は顎骨形状に関して、皮質骨と海綿骨の空間分布様相および構造的特徴の再現性を向上することを目的として作成を行った。作成したFEモデルの応力解析を行うに当たり、複雑なモデルほど再現性は向上することが知られる。しかしながら、複雑なモデルはPCリソースを多く必要とし、PCスペックや対象となる構造物の大きさによって計算が収束しない場合がある。このことから、複数のFEモデルを作成して接点数や総要素数の妥当性の検討を行い、非線形・動力学的挙動を観察するに際して妥当性の高いFEモデルを得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は有限用要素解析モデル(以下、FEモデル)の作成を行った。複数のFEモデルを作成して接点数や総要素数の妥当性の検討を行い、非線形・動力学的挙動を観察するに際して妥当性の高いFEモデルを得ることに成功した。これは、申請書に記載した研究計画におおむね沿った進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られたFEモデルに基づいて、負担機構が周囲骨の動力学挙動(応力,ひずみ)に及ぼす影響を比較検討する。具体的な分析項目として,ⅰ)基準領域における応力ヒストグラム,ⅱ)基準体積あたりの応力平均値(MPa),ⅲ)ひずみエネルギー密度(SED)を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
FEモデル作成がおおむね順調に進んだため、翌年度の計画に合わせて使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
各種応力解析に必要十分な機能を有したの解析用PCの購入とデータ整理に必要なソフトウエアの購入を予定している。
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