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本研究は、歯科インプラントコンポーネントおよび周囲骨における非線形・動的力学挙動を、経時的に変化する動的荷重条件を反映した非線形・動的有限要素シミュレーションモデルを確立することにより解明することを目的としている。
申請者は、昨年度に作成した歯科インプラント支台義歯使用患者の顎骨幾何形状及び骨内材料不均質性を再現した解析モデルについて、従前モデルとの整合性及び妥当性の検討を行った。当該モデルは、歯科インプラントに加わる荷重量及び方向を三次元的リアルタイム測定システムにより得られた荷重データをインポートすることで再現性を高めている。この荷重データについて、荷重シーケンスを細分化して荷重ステップが異なるモデルで解析を行った。具体的には、最大荷重値を中心としたモデルと荷重値の勾配が急な部位を適用したモデルを作成して応力値を比較した。
両者を比較した結果大きな差は見られなかった。顎骨が有する粘弾性や材料塑性など、当該モデルに考慮されていない要素について更に検討する必要がある。特に骨の弾性率は、組織の粘弾性や慣性の影響を受け、歪み速度の増加に伴い増加することが知られる。各種の経時的な荷重タスクについてひずみ速度をより詳細に解析することで，各荷重タスクが骨内の歪みに与える影響を考慮する必要性が示唆された。しかしながら、本結果において両者に相違がなかったことから、顎骨モデルを単純化することの妥当性について寄与する可能性が示された。
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