研究課題/領域番号 |
15K20425
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
米田 博行 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90709122)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒスタミン / 咬筋筋活動 |
研究実績の概要 |
顎関節症患者に対する抗ヒスタミン薬投与が鎮痛効果を示すことから、顎関節症Ⅰ型の病態形成においてHDC やヒスタミンが重要な役割を担っていると考えられる。これらのことから持続的な筋活動によって引き起こされる疲労・疼痛の解明を行うために、HDC活性を指標とした筋活動モデルを定義し、筋活動の程度による慢性疼痛発現因子としてのIL-1β-HDC-ヒスタミンのメカニズムの解明を行うこととした。 IL-1βが筋活動に影響を与えることを確認できたが、既に報告のある強度で電気刺激を行うとHDC活性が増強するが、低強度の電気刺激ではHDC活性とIL-1mRNAのバラツキが大きく、相関が得られなかった。 このため、新たに筋活動の指標となる物質の検討を行い、神経成長因子(NGF)に関して咬筋筋活動に対する影響の検討を行った。その結果、NGFを咬筋投与直後には咬筋筋活動に大きな差は見られなかったが、1日後には咬筋筋活動が低下した。更に、NGFを筋肉に投与すると筋肉痛に似た症状がでることが知られていることから、マウスの咬筋にNGFを投与した後、疼痛閾値がどのように変化するかを確認するため、von Frey hairを用いて実験を行った。しかしながら、von Frey hairによる刺激では有意な差は得られなかった。これはvon Frey hairは刺激を与える強さを、フィラメントの径の大きさによって変化させているため、接触面積の変化が影響も考えられることから、深部組織の疼痛閾値変化に多く用いられている Randall Selitto 試験等の検討を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大腿四頭筋の電気刺激と強制歩行実験のIL-1β-HDCの相関を関連させることが難しかったため,新たに筋活動の指標となる物質の検討し、さらにRandall Selitto 試験を行うため新たな機器の購入を必要としたが、科研費の予算内での購入が難しく他の方法を検討する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、NGFの投与にて低下する咬筋筋活動の疼痛による影響について実験を行い、ヒスタミンおよびIL-1との関連性について検討する。それ以外の発痛物質としてヒスタミンと同じく血管系の作用をもつセロトニン、ブラジキニンの影響に関しても、筋組織中のセロトニン、ブラジキニンの測定、アンタゴニスト投与による筋活動の測定を行い調べる。 また、過剰な筋活動の影響によりHDCの誘導が起こり多量のヒスタミンが放出されると、血管系の作用として微小循環の障害を引き起こし、組織障害をもたらすと考えている。そのため、筋組織障害が起これば血管透過性の亢進が引き起こされると考えられる。そのことから上記物質を指標としながら、血管透過性を比較し検討する。 さらに得られた結果を取りまとめ、咬筋筋活動におけるヒスタミンの役割について成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな実験として、Randall Selitto 試験用の機器の購入を検討してが、予算の段階で科研費での購入が難しく、他の機器を検討しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
Randall Selitto 試験用の機器に変わる他の機器を検討し、使用するための資金とする。また、今後の実験の中で必要とされる試薬、試験キットの購入費にあてる予定である。
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