顎関節症患者に対するこれまでの報告において抗ヒスタミン薬投与が鎮痛効果を示すことから、咀嚼筋を中心とした顎関節症Ⅰ型の病態形成において。ヒスタミンやその合成酵素でヒスチジン脱炭酸酵素が重要な役割を担っていると考えられる。これらのことから筋活動の持続によって引き起こされる疲労・疼痛の解明を行うために、HDC活性を指標とした筋活動モデルを定義し、筋活動の程度による慢性疼痛発現因子としてのIL-1β-HDC-ヒスタミンのメカニズムの解明を行うこととした。 これまでの研究に関しての解析を行い、IL-1βが筋活動に影響に関して,強制歩行実験の結果から、IL-1-KOマウスの方が脱落するマウスが多い傾向が見られた。IL-1βが筋活動に関与する可能性が示唆されたことから、運動に関する定義を行うため、マスト細胞のHDCの活性を指標として、強制歩行実験と大腿四頭筋の低強度の電気刺激によるHDC活性とIL-1mRNAの変化に関して解析を行った結果、優位な差は得られなかったが,低刺激群で増加傾向がみられた。また、神経成長因子(NGF)の咬筋筋活動に対する影響は、NGFを咬筋投与直後には咬筋筋活動に大きな差は見られなかったが、1日後には咬筋筋活動が低下を示した。NGFを筋肉に投与すると筋肉痛に似た症状がでることが知られていることから、マウスの咬筋にNGFを投与した後、疼痛閾値がどのように変化するかを確認するため、von Frey hairによる実験を行ったが有意な差は得られなかった。 今回の研究で「適切な」筋活動と「過剰な」筋活動を定義することはできなった、が筋の慢性疼痛へとつながるような筋活動において,IL-1およびHDC、NGFの関与する可能性が示唆された.
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