研究課題/領域番号 |
15K20430
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
勝木 梓 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (00750613)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周炎 / 部分床義歯 / Digital subtraction |
研究実績の概要 |
部分歯列欠損を有する歯周炎罹患者に対して、部分床義歯を装着した際に支台歯の周囲骨に生じる変化を視覚的に評価する為に、エックス線写真を定点撮影し重ね合わせて変化の生じた部位を評価するDigital subtraction法を用いた前向き介入試験を立案し、東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会の承認を得た。本研究では,Digital subtraction法による評価の他に、ポケット深さ、動揺度、クリニカルアタッチメントロスの変化を評価することとした。また,クリニカルアタッチメントロスの計測用のジグを使用することとした。 Digital subtraction用ソフトを購入し、支台歯の周囲骨の評価を想定したエックス線写真撮影用ジグのデザインを決定した。ジグのデザイニングに際しては、評価対象歯の大部分が小臼歯であると予想されるため、予備実験として、健常歯列者の上下顎小臼歯を根尖部までコーンカットせず撮影可能となるよう試行錯誤的にデザインの修正を行った。また、不可避な微小の位置ズレに対して、専用ソフトで修正が可能であることを確認した。本実験を遂行する準備が整ったため、被験者のリクルートを開始した。 被験者は、東京医科歯科大学歯学部附属病院歯周病外来を受診し、初診時に中等度以上の歯周炎と診断された者のうち、2歯以上の遊離端欠損を有する者とした。文書および口頭でインフォームドコンセントを行い、同意を得られた者についてリクルートを行った。歯周治療中には欠損部を補綴せず、歯周治療終了後に再評価を行い、歯周専門医の診断に従い、メインテナンスへ移行可能となったタイミングで、部分床義歯を製作することとした。目標被験者数は15名とし、評価期間は部分床義歯装着から6ヶ月とした。次年度より、被験者数を増やし、データ採取、解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、本年度は実験デザインの確立およびエックス線写真撮影用ジグのデザイニングを含む、健常者対象の予備実験を行う予定としていた。現状は予備実験を終了し、本実験のための被験者リクルートまで進んでいる。予定よりやや早めの進展であるが、本実験においてはドロップアウトや、義歯装着までにある程度の時間が必要なこと、取込み基準(中等度以上の歯周炎罹患者、2歯以上の遊離端欠損、歯周治療中に義歯を使用していない)を満たす患者の絶対数が少なく、連続サンプリングという形式であることを加味すると、データサンプリング期間が長期化することが予想されるため、このような評価とした.予定以上に進展した理由としては、当初企画していた評価項目をより単純化し、客観的項目のみに絞る事で,準備期間を短縮化したこと、またコントロール群を設定せず、同一被験者内での評価としたこと、が挙げられる。当初の計画では、評価項目が多岐にわたり、各々の評価項目の因果関係を説明すること、予定期間内にデータの解析まで終了することが困難であると同時に、被験者の負担が大きくなってしまうため、倫理審査委員会からの指導も参考に、修正を試みた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度および次々年度の前半は、おもに被験者のリクルートからデータサンプリングに費やすこととなる。進行度は概ね順調であり、現状以上の変更は必要ないと考えている。しかし、被験者の絶対数が少ないため、リクルートがスムーズに進むよう、外来に被験者リクルート案内を設置すると同時に、研究担当者は外来を巡回し取込み基準を満たす患者に対して確実にインフォームドコンセントを行うことが重要である。次年度の進行状況によって、その後の計画の変更を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画立案の段階では、当該年度の主な使用目的である「Digital subtraction法に用いるPC用ソフトの購入」に関して、いくつかのソフトが候補として考えられていたため、ソフトの代金に幅があると考えていた。このため、ソフト購入に際して次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していた、エックス線写真撮影用のジグは、単体では定点撮影が困難であったが、既製品にアクリル製の円筒を固定することで、安定的に定点撮影が可能となった。このアクリル製円筒を購入するための費用として、次年度使用額を使用する予定である。
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