1.昨年度までに,岡山大学病院クラウンブリッジ補綴科において,インプラント最終上部構造を装着しメインテナンスに移行している患者のうち,口腔内に健全インプラント体,インプラント周囲炎罹患インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯を有する合計9名の患者を研究実施対象者として得ている.そして,それぞれ対象者から臨床診査プロトコルに従い臨床診査データを収集すると共に,インプラント周囲炎罹患インプラント体,健全インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯それぞれの周囲ポケットからペーパーポイントを用いて歯肉溝浸出液ならびに唾液を採取している. 2.9名の研究対象者に対して,それぞれ4部位(インプラント周囲炎罹患インプラント体,健全インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯)から採取した歯肉溝浸出液および唾液を用いて菌叢解析を行った.解析には,次世代シークエンサーによる16S解析を用い,検体間,疾患間の菌叢の違いをクラスター解析にて分析した.属レベル解析を行う際,リード数100以下のものを除去した.その結果,対象者の唾液が同じクラスター内に分類された.そこで,全対象者の唾液を除去し,再度クラスター解析を行った.その結果,大きく,「インプラント周囲炎罹患インプラント体,歯周病罹患歯」,「健全インプラント体,健全歯」,「その他」の3つにクラスターがわかれた.次に,インプラント周囲炎特異的に存在する菌の抽出を試みた.その結果,幾つかの細菌がピックアップされた.
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