研究課題/領域番号 |
15K20441
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柄 博紀 広島大学, 大学病院, 病院助教 (60614378)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科材料 / 接着性プライマー |
研究実績の概要 |
接着性レジンセメントは、被着体の材質に応じた種々の接着性プライマーで被着面の処理を行う煩雑さを有する。本研究では、従来歯科では用いられていないドーパミンの接着機構を応用し、被着体を選定しない汎用性を持つ新規接着性プライマーの開発を目指す。本材の開発により、被着面の処理操作を簡便化し、また、強固な接着強さとともに抗菌効果が得られ、歯冠修復物により安定した予後を与えることができると考えられる。 本年度では、歯科の接着では用いられていないドーパミンの接着機構を接着性プライマーに応用し、その有用性を明らかにすることで、被着体を選定しない汎用性を持つ新規接着性プライマーの開発を目指している。まず、ドーパミンの接着機構を応用した接着性プライマーを試作するための実験を行った。Dopamine hydrochloride、Dopamine-1,1,2,2-d hydrochloride(Sigma-Aldrich社製)を用いて、MES buffer (pH 4.5、1 ml)に溶解させ(pH=8.5)、40、60および80℃で24時間熱処理を行い、3種類のポリドーパミンを作製した。作製した3種類のポリドーパミンをそれぞれアセトンに対して0.1~5.0wt%の間で溶解し、ポリドーパミン溶液を作製した。溶液作製24時間後に、核磁気共鳴分光計(NMR)(AVANCE600、Bruker社製)を用いて定量測定を行った。また、同時並行して、試作した接着性プライマーを用いて接着性レジン性レジンセメントを各被着体に接着し、接着強さおよび接着面の表面性状について検討を行うための比較として、市販の接着性レジン性レジンセメントを用いたせん断接着強さの測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Dopamine hydrochloride、Dopamine-1,1,2,2-d hydrochlorideからポリドーパミンを作製する過程が難しく、試作接着性プライマーの作製がうまくできていない。試作接着性プライマーの作製ができれば、次の実験である接着強さおよび接着面の表面性状について検討は、比較材料の測定はほぼ終了しているので、スムーズに実験計画を実行できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ポリドーパミンの作製方法を再検討し、試作接着性プライマーの作製が出来次第、接着強さおよび接着面の表面性状について検討し、次いで、ポリドーパミンの抗菌効果の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試作接着性プライマーが接着性レジンセメントと歯冠修復材料の接着に及ぼす影響の検討で使用する接着試験片および接着性レジンセメントなどを本年度にすべて購入していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
接着試験片およびドーパミンの抗菌効果の検討に用いる試験片などに使用する。
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