研究課題/領域番号 |
15K20446
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
江越 貴文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70706150)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 軟質リライン材 / 銀ナノ微粒子 / 抗菌効果 |
研究実績の概要 |
シリコーン系軟質リライン材は高度顎堤吸収による義歯の接触による疼痛の緩和などの目的で広く臨床応用されている。近年条件付きではあるが保険導入されたこともあり、非常に注目を集めている歯科材料である。 本研究の目的は、抗菌性を有する銀ナノ微粒子を成分とする抗菌物質を軟質リライン材に配合し、その抗菌効果を調査することである。 軟質リライン材に銀ナノ微粒子を配合し、臨床応用するにあたって、まずは既存の軟質リライン材そのものの物性や、歯科材料との接着強さを確認しておくことが重要となる。さらに、軟質リライン材は新しい材料が登場しており、臨床では新しい材料が使用されるため、その材料についての性質を把握しておく必要がある。そこで、義歯床用金属と、新しい軟質リライン材との接着強さについて熱負荷試験も行い比較検討し、その結果を日本接着歯学会にて発表した。間接リラインを想定した実験であるが、その結果は、熱負荷試験後も接着強さの値には影響を与えないという結果であった。ただし、接着試験後の試料の破壊が軟質リライン材内で起こる割合が増加することから、熱負荷試験を行うことにより、軟質リライン材そのものの物性が脆く変化している可能性が考えられ、粘弾性的性質にまで焦点を当てていくべきことが明らかとなった。この結果を受け、今後銀ナノ微粒子を配合した場合にどのような接着強さ、粘弾性の変化を示すか調査する必要があり、銀ナノ微粒子の配合率による物性、抗菌作用の差異を比較検討していく必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しく登場した軟質リライン材と義歯床用金属との接着強さの測定および考察に多くの時間を要してしまった。また、論文執筆とそれに伴う再実験に時間を費やすことも多く、実働実験が遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
新しく登場した軟質リライン材と義歯床用金属との接着強さの測定は行った。今後は軟質リライン材と銀ナノ微粒子の配合率の確認、試作リライン材と既存の軟質リライン材とのカンジダ菌に対する抗菌性の比較検討、義歯床用材料に対する接着強さと接着耐久性の比較検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
カンジダ菌の実験関連の消耗品の購入予算として計上した分の購入に至っていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
カンジダ菌への抗菌性の確認実験関連の消耗品の購入予算として計上予定。
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