本研究の目的は細胞毒性の評価法再考するとともに、レオロジー学的考察も踏まえ新規硬質リライン材の開発に着手するものである。レオロジー学的特性に関しては、すでにDental materials journalにてpublishされている。細胞毒性の評価法に関しては、硬質リライン材の細胞毒性を研究するにあたり、単層培養やさらに生体を模倣した3次元的な培養などにより評価を行ってきたところである。それぞれの結果は日本歯科補綴学会などで発表をおこなってきた。 2016年にNIOM(Norway)への留学が決まり、一時研究を中断していたのだが、留学先での研究により新たな発見が見出された。NIOMではC.albicansを使用し、そのバイオフィルム形成能について研究を行った。我々はすでにヒト線維芽細胞を使用して、硬質リライン材には細胞毒性が少なからずとも現れることはわかっていた。しかし、C.albicansの研究途中でその事実がさらに裏打ちされることとなった。硬質リライン材表面を人工的にエイジングした際には、バイオフィルムの形成量も増えると予想したが、そのエイジング量よりも溶出量の減少がバイオフィルム形成に影響を与えやすいということが判明した。そこで、我々は硬質リライン材から溶出される溶出物に関してさらに深く追求することとし、ガスクロメーターを使用しどの溶出物が実際に細胞毒性を現しているのか研究を行っていた。これらの成果に関しては、現在論文執筆中である。
|