研究課題/領域番号 |
15K20454
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
安部 友佳 昭和大学, 歯学部, 助教 (80614156)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / セロトニン神経系 / iPS細胞 / SNP / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
顎口腔系に破壊的な作用をもたらす睡眠時ブラキシズムは、補綴歯科治療の予後を左右する重要なリスクファクターであるが、その発症のメカニズムについてはいまだ詳細に解明されておらず、診断と治療法の確立は急務である。本研究は、過去に研究代表者が明らかにした睡眠時ブラキシズムのリスクとなる遺伝子多型に基づき、その機能と睡眠時ブラキシズムとの関連を明らかにするために、睡眠時ブラキシズム特異的iPS細胞を樹立してセロトニン受容体発現神経細胞へと誘導し、その表現系の電気生理学的解析と伝達経路を明らかにすることを目的としている。 平成27年度には、まず、本学ヒトゲノム遺伝子解析倫理審査委員会の追加承認を得た。その上で、臨床診断と終夜ポリグラフ検査結果に基づいて睡眠時ブラキシズム患者とコントロールを確定した。末梢静脈血を採取してゲノムDNAを抽出し、一塩基多型(SNP)解析を行ってリスクアレルであるセロトニン2A受容体遺伝子(HTR2A)のrs6313(T102C)のCアレルの有無を確認した。リスクアレルの有無と睡眠時ブラキシズム診断が合致する被験者を選定して、それぞれiPS細胞を樹立した。iPS細胞の樹立は、京都大学iPS細胞研究所で開発されたエピゾーマルプラスミドを用いて初期化因子を導入して行った。さらに、多分化能の確認を行った上で、iPS細胞を神経細胞へと分化誘導した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトゲノム遺伝子解析倫理審査委員会の追加承認を得るまでにやや時間がかかったが、過去のPSG測定記録を用いることで、被験者の選定をスムーズに進めることができ、iPS細胞樹立から神経細胞の誘導までに成功しており、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞から分化誘導させた神経細胞は、さまざまな神経幹細胞が混在する状態であり、その中から、セロトニン受容体を発現している疾患感受性神経細胞を濃縮するために、GFPを挿入したレポーターレンチウイルスを作成して、それを導入する。濃縮を行った神経細胞に対して、電気生理学的解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、iPS細胞の樹立を講座研究費等から拠出して行っていたこと、また、神経細胞の解析については、一部外部委託による解析を行ったが、サンプル提出から解析終了までが時間がかかっており、請求が次年度繰越となっているため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
iPS細胞の樹立と神経細胞の誘導は継続して行う必要があるため、その費用と、外部委託による解析費用として使用する予定である。また、すでに発表が確定している学会の参加費にも使用予定である。
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