本研究では、ジルコニアフレームワーク形態および前装材料の違いがインプラント支持の臼歯部ジルコニア修復物の破壊強度長期耐久性に及ぼす影響を評価することを目的とした。 インプラント上部構造のジルコニアフレームワーク形態はuniform thickness(以下UNI)、anatomic(以下ANA)、supported anatomic(以下SUP)の3条件とし、さらに前装材料の違いによりジルコニアオールセラミック修復物(以下ZAC)群と間接修復用コンポジットレジン前装ジルコニア修復物(以下ZIC)群の2群に分けた。UNI形態は、ジルコニアフレームワークを均一な厚さ0.5 mmとした。ANA形態は解剖学的な形態を考慮し、前装材料を均一な厚さ1.2 mmとした。SUP形態はANA形態と同様に前装材料を均一な厚さ1.2 mmにし、さらに隣接面から舌側面にかけて高さ5.0 mmの前装材料を水平面でサポートする形態を付与した。破壊強度試験前に、全試料に対して120万回の静的繰り返し荷重試験および1万回の熱サイクル試験を行った。 UNI、ANAおよびSUP形態の破壊強度の平均値はそれぞれZAC群で4.71、8.02、8.22 kN、ZIC群で4.50、5.22、6.99 kNであった。ZAC群において、UNI形態が他の2つのフレームワーク形態と比較して有意に低い破壊強度を示した。ZIC群において、ANAとUNI、ANAとSUP間に統計学的有意差は認められなかった。 試験後の破壊様式は、ZAC群はフレームワーク形態にかかわらず、フレームワークに及ぶ破壊を多数認めたが、ZIC群は約半数で前装材料内の破壊を認めた。また、前装材料内の破壊において、ZAC群およびZIC群ともに、UNI形態では咬合面からクラウンマージンにかけて前装材料の破壊が観察された。
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