平成29年度は、「平成28年度の研究実施計画」にある、microRNAのマイクロアレイ解析を行うために、唾液から高濃度でRNAを抽出する方法を検討した。最終的には、microRNAのマイクロアレイ解析の委託とともに、唾液から高濃度でRNAを抽出する方法を委託して、検討した。その結果、テストサンプルにおいて、唾液からのRNA抽出と、その後のmicroRNAのマイクロアレイ解析を行えることを確認した。そこで、当初の計画通り、Ca拮抗薬を服用している口腔乾燥症患者3検体と内服のない健常高齢者3検体、さらにシェーグレン症候群患者2検体について、RNAの抽出とmicroRNAのマイクロアレイを委託にて行った。 平成28年度の結果である、Ca拮抗薬を服用している口腔乾燥症患者、内服のない健常高齢者、シェーグレン症候群患者における唾液の特徴として、安静時唾液量、刺激唾液量、タンパク濃度の比較を行った結果を論文にまとめ、公表した。 さらに、平成28年度に得られたiTRAQ法を用いたタンパク同定解析の結果、Ca拮抗薬を服用している口腔乾燥症患者に特徴的に増加および減少しているタンパク質を決定した。その中でも、Ca拮抗薬と関連づけられるタンパク質および歯肉増殖症と関連するタンパク質を抽出した。唾液を検体として行うiTRAQ法を用いたタンパク同定解析の方法および結果について、学会発表を行った。 Ca拮抗薬や歯肉増殖症と関連するタンパク質の抗体を購入し、保管しておいたCa拮抗薬を服用している口腔乾燥症患者と内服のない健常高齢者の唾液を被験体としてWestern blottingによるタンパク質の検出確認を行い、現在も継続中である。
|