研究実績の概要 |
ノンメタルクラスプデンチャーは広く臨床応用されている.しかし,維持装置の設計は経験的に行われており,使用する熱可塑性樹脂の材料学的性質に合致した設計方法を確立することは急務であると考えられている.現時点では,樹脂の理工学的性質と義歯の治療効果と術後経過に関する研究が不十分である.そこで本研究は熱可塑性樹脂クラスプについて,症例に適した熱可塑性樹脂材料の選択や長期使用を可能とする設計について明らかにすることを目的に行った. 熱可塑性樹脂クラスプの製作は,第一大臼歯を想定した歯冠高径8.0 mm,歯冠幅径10.0 mm,曲率半径7.5 mmの18-8ステンレス鋼製金型支台歯を使用し.熱可塑製樹脂クラスプの設計はアンダーカット量0.25 mm,0.5mm,0.75 mmに設定し,クラスプの厚みを0.5 mm, 1.0 mm,1.5 mm,2.0 mmに変化させ製作した.試料は,37±2 ℃水中に48時間浸漬し,試料数は各条件につき5個ずつ製作した.製作した熱可塑性樹脂クラスプは適合試験,初期維持力の測定,義歯10年間の長期使用を想定した10,000回の繰り返しの着脱を行い,維持力の変化の測定を行った.また,熱可塑性樹脂クラスプは,10,000回の繰り返しの着脱試験において多くの試料にクラックや破折が認められた.それら熱可塑性樹脂クラスプの経時的な変化のを記録するためにデジタルビデオカメラにて撮影を行い,熱可塑性樹脂クラスプにクラックや破折が生じた状態を記録した.
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