研究課題/領域番号 |
15K20466
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
川口 智弘 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50631701)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 義歯床用レジン / 曲げ強さ / セルロースナノファイバー / 曲げ弾性係数 |
研究実績の概要 |
本実験は、ISO20795-1に基づいた義歯床用レジンの試料を作製し、曲げ試験を行い評価する。またフィンランドのトゥルク大学と共同研究を行うため、トゥルク大学での研究打ち合わせは平成27年8月25日に行った。研究計画として平成27年度ではシート状やフィラー状、スラリー状に成形したセルロースナノファイバーを複合させた義歯床用レジンの曲げ試験を行った。(1)試料作製:ISO20795-1に基づき常温重合型床用レジンの試料の作製を行った。(2)本試験:3点曲げ試験により曲げ強さ(MPa)、曲げ弾性係数(GPa)を計測した。(3)実験の結果:各形状のセルロースナノファイバー含有床用レジンおよび従来型常温重合型床用レジンと比較したところ、セルロースナノファイバーによって曲げ強さが有意に向上したものはなかった。これはセルロースナノファイバーに含有する水分の影響により強度が低下したと考えられる。セルロースナノファイバーの水分を除去するために真空凍結乾燥機にて乾燥を行った。(4)歯科材料学的および歯科補綴学的助言およびディスカッションについては、福岡歯科大学教授髙橋裕、九州歯科大学教授清水博史、トゥルク大学Pekka Vallittu教授およびTurku Clinical Biomaterials Centre(TCBC)研究所長Lippo Lassilaの協力を得るため研究打ち合わせを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各形状のセルロースナノファイバー含有床用レジンおよび従来型常温重合型床用レジンと比較したところ、セルロースナノファイバーによって曲げ強さが有意に向上したものはなかった。これはセルロースナノファイバーに含有する水分の影響により強度が低下したと考えられる。セルロースナノファイバーの水分を除去するために通常の加熱乾燥機にて乾燥を行うとセルロースナノファイバーの繊維が凝集し、床用レジンに複合化させることは困難であると分かった。それに対し真空凍結乾燥機にて乾燥を行うことで、セルロースナノファイバーを凝集させることなく乾燥を行うこととした。次年度では真空凍結乾燥機にて乾燥したセルロースナノファイバーを用いて曲げ試験を行うことを予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
真空凍結乾燥機にて乾燥させたセルロースナノファイバーを用いて義歯床用レジンに複合化させる。セルロースナノファイバーは乾燥させる際に、あらかじめ義歯床用レジンの粉末成分と一緒に乾燥させることでその粉末形状を保ったまま乾燥できることが分かった。平成28年度では義歯床用レジンの機械的強度を向上させるためのセルロースナノファイバーの濃度や乾燥方法などを検討することを予定している。またナノファイバーの専門家であるトゥルク大学Pekka Vallittu教授およびTurku Clinical Biomaterials Centre(TCBC)研究所長Lippo Lassilaの協力を得るため研究打ち合わせを行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
45th Annual Meeting & Exhibition of the AADR 2016(USA、ロサンゼルス)で研究報告を行う予定であったが、研究成果が十分に得られていなかったため、学会発表を行わなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に研究成果が得られれば、その成果を95th General Session & Exhibition of the IADR(USA、サンフランシスコ)で研究報告を行うこととする。
|