標本となるヒアルロン酸ーコーティングアパタイト骨補填材は、ヒアルロン酸に0.01ml NaOHを混ぜ1mass%の濃度にし、ジビニスルホンを混ぜ、常温にて2日間撹拌し、予備凍結をおこない、-80℃にて凍結乾燥を行う。さらに1M CaCl2中に36.5℃にて1日浸漬させ、最後に疑似体液中に36.5℃にて7日間浸漬させ、完成させた。また、ヒアルロン酸は凍結乾燥まで終了し、実験に使用した。動物実験においては、健常な体重約3kgの日本白兎を用いた。動物飼育については東北大学動物実験施設において行われ、同施設の規定を順守した。兎の頭頂部を用いたin vivoによるヒアルロン酸コーティングアパタイトの骨補填後の骨形成の検討を行った。全身麻酔下にて兎の頭部に皮膚切開、骨膜切開を行い、骨膜を剥離し、頭頂部に穿孔を行い、出血を促し、ヒアルロン酸コーティングアパタイト骨補填材を留置し、チタンメッシュ、メンブレン膜をスクリューにて固定後、骨膜、皮膚を縫合した。対照群は何も留置せず、骨に穿孔のみを行い、チタンメッシュ、メンブレン膜をスクリューにて固定し、縫合した。6週目に標本の採取を行った。μCT所見においては、ヒアルロン酸コーティングアパタイト補填材と対照群を比較すると、著しい骨の造成が認められなかった。また、標本所見において、チタンメッシュ下のヒアルロン酸アパタイトコーティング骨補填材の吸収は認められなかった。今後は、ヒアルロン酸コーティングアパタイト骨補填材の更なる改良、実験手技においては、歯槽骨萎縮モデルにおいてヒアルロン酸コーティングアパタイト骨補填材の骨形成の検討を行うことを検討している。
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