研究課題
本研究は、再生医療における組織再生効率向上を目指して、間葉系幹細胞(MSC)の分子分泌能を強化し、組織再生能を向上する再生医療用足場材料の開発を行うことを目指す。MSCは、種々のサイトカインやエキソソームを分泌することで、内在性細胞を活性化し、組織再生に寄与することが報告されている。本研究は、MSCの分子分泌能を強化する足場材料の開発を行うことを目的とする。本研究成果を硬組織再生医療に応用できれば、移植部位でMSCを長期間保持し、サイトカイン分泌を亢進し、内在性幹細胞を局所へ動員し、組織再生能を向上することが期待される。本研究課題期間内に、in vitroにおけるMSC培養実験とin vivo動物実験の結果をもとに、最適な足場材料の開発を行う。平成27年度は、(1)有機無機コンポジット試料の作製およびキャラクタリゼーション、(2)MSCの単離と試料上における培養試験を行った。(1)では、骨補填材として臨床応用されている無機材料であるハイドロキシアパタイト(HA)、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)に加え、破骨細胞吸収性を有する炭酸含有アパタイト(CA)を利用した。有機材料としてはポリ乳酸(PLA)を利用した。各無機材料試料粉末を湿式法で合成し、X線回折、フーリエ変換赤外分光法を用いて、キャラクタリゼーションを行った。その結果、各材料は単一結晶相を有していることが確認された。5-20wt%の無機物を含むPLAとのコンポジット試料を作製し、キャラクタリゼーションを行った。(2)では、マウス大腿骨および脛骨骨髄由来のMSCを単離した。各試料上においてMSCを培養し、骨芽細胞への分化能を検討した。その結果、いずれの試料上においても、骨芽細胞に分化することが確認された。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は研究計画のとおり進めることができた。また、研究成果について、学会や論文で発表することができた。
平成28年度も研究計画書に従い、研究を進める予定である。具体的には、間葉系幹細胞(MSC)が分泌するサイトカインの解析、MSCを有機無機コンポジットに担持させ、生体内埋植試験を行い、骨形成能評価を行う。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 7件) 図書 (2件)
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