近年骨量の不足する症例が増加しており、Narrow Implantについて従来のものより径が小さくて済むため期待が高まっている。しかし、径が従来のものに比べて小さいため、破折しやすいというリスクが高まる。このため歯科インプラント材料の高強度化が求められる。本研究ではHigh Pressure Torsion(HPT)加工に着目した。HPT加工は金属材料などの機械的特性向上に用いられる巨大ひずみ加工法であり、試料に高い圧力を加えながら下側の金型を回転させることによって、試料にねじり変形を加える。本研究ではHPT加工による結晶粒微細化によって、Ti-6Al-7Nb合金の高強度化を図ることを目的とする。これまでに、Ti-6Al-7Nb合金にHPT加工を施し、HPT加工条件である、圧力と回転数が加工後の組織と機械的特性に及ぼす影響を調べ、機械的特性の向上のための最適な加工条件の探索および加工前出発組織の検討を行ってきた。 ・Ti-6Al-7Nb合金に加工前に熱処理を行った。これによってバイモーダル組織を得た。 ・出発組織を変え、加工を施すことによって結晶粒微細化した。加工の回転数が小さい場合は加工方向に伸長した比較的大きい結晶粒が見られたが、回転数の増加に伴い減少した。 ・結晶粒径は微細化し、α相は最小で約70 nmの超微細な結晶粒が得られた。 ・ビッカース硬さは、回転数の増加に伴い増加した。引張特性は熱処理を行わなかった場合に比べて向上した。
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